悔恨と懐古 05 言うと、橘は両手を離し、膝を少し動かして遊糸に立つように促した。 ──嫌だ。 こんな奴に再びイかされるのは、嫌だった。だが、こうしてずっと橘の膝の上に跨っているというのも、苦痛でしかない。 どうにか逃げられないか。避けられないか。 動かない頭で懸命に遊糸は考えたが、結果が出るほどの時間も与えられず、「早くしなさい」と催促されてしまった。渋々立ち上がり、半歩下がって距離を取る。 「いい子だ」と橘が言って、それからまっすぐに遊糸の目を見て微笑んだ。 「脱ぎなさい」 「ッ!」 びくん、と肩が震えた。予想出来ない言葉ではなかったが、実際に言われると吐き気が募った。 頭の中が真っ白になって、思わず小刻みに首を振る。 「…ゃ…っ」 言ってしまったあとに、気付く。拒絶、してしまった。逃げてしまった。 だが、橘は気にした様子もなくにっこりと微笑んだ。 「脱がせて欲しいのかな? 遊糸はまだお着替えも出来ないのかな」 「ッ!」 完全に自分を幼児扱いしている橘に、遊糸は怒りよりも恐怖を覚える。橘の眼は、遊糸を見ているようで見ていない、そんな感じがした。 笑顔の手前で、赤黒く勃起したペ○スがただひたすらに気持ち悪い。 自分の醜態を見て興奮しているのだと思えば、なおさらだった。 [*前] | [次#] 『カゲロウ』目次へ / 品書へ |