悔恨と懐古 03 そんな下半身とは不釣合いに、橘が穏やかに笑う。 「触ってごらん、遊糸」 「ッ!」 思いがけない言葉に、遊糸は思わず顔を引き攣らせた。他人の性器など、触りたくない。見たくもない。 だが橘に容赦はなく、手首を掴まれ、そこへ導かれる。 「ぅ…っ、ぅう…ッ」 指先が触れる。ピクン、とソレが動いて、遊糸はすぐに手を引こうとするのだが、きつく掴まれていてそれも出来なかった。 パニックを引き起こしそうな遊糸に構わず、橘は耳許で囁き続ける。 「しっかり握って。扱いてごらん、遊糸。君にもやってあげただろう? あんな感じで。よく思い出して」 「ゥ、うぅう…ッ」 嫌だ、嫌だ、嫌だ。 必死に喚く脳内の声とは裏腹に、遊糸の指はゆっくりとソレを握る。途端にソレはどんどん硬さを増してきて、「ぅうう…ッ」遊糸はくしゃくしゃに顔を歪ませた。 コワイコワイコワイコワイコワイ。 この『悪戯』で、遊糸が痛い思いをしたことはない。橘はいつも丁寧で、遊糸を気遣いながらコトを進めていた。 だが、それでも、『悪戯』をしてくる『父』の存在が、遊糸には恐怖でしかなかった。 ガタガタ震えながら橘のペ○スを握る遊糸に、橘は笑ってキスをする。 [*前] | [次#] 『カゲロウ』目次へ / 品書へ |