隣の子

03



「それで、なにを、どう…?」

 薄暗い倉庫の中はよく見えないが、特に酷く乱れている様子ではなさそうで、霙は問う。
 美濃川は慣れた手つきで倉庫の電気をつけると、倉庫のシャッターを引き下ろした。
 嫌に大きな音が響いて、『扉』が閉まるのを、霙は一瞬真っ白になった頭で見つめた。

「…ぇ」

 そして今更になって、霙は嫌悪の理由を知る。シャツよりはゆとりのある美濃川のジャージの股間が、大きく盛り上がっていることに。
 下卑た笑みを隠しもせずに、美濃川がゆっくりと近付いてくるのに、咄嗟に数歩後ずさる。
 でも、逃げ場はない。

「その顔。やっぱり小高、お前『経験』あるな?」

 じゃり、じゃり。靴の底が砂をにじる。

「なん、の、こと…」

 自分より体格の良い他者に閉じ込められたら恐怖を感じる、ただそれだけのことだ。
 震える声はその表れだ。
 そう思うのに、踵が高飛び用のマットにぶつかってぼすりと腰を落としたとき、ヒクン、とまた蕾が疼いた。

(ゃ、やだ──)

「誤魔化すなよ…お前から雌のにおいがして堪んねぇんだよ…!」
「ゃ──!」

 大きな身体が覆い被さってきて、恐怖と混乱に喉が引き攣った。
 両手を相手の胸に押し当てるのが精一杯で、藻掻く隙に下着ごとジャージパンツが引き下ろされ、隠す暇もなく足首を掴まれて大きく股を開かされる。

「ぁ、ゃ…っゃ…!」

 涙に滲んで声が言葉を成さない。
 美濃川はぎらぎらと獣のような眼を光らせて、霙の背に膝を差し込み、足が顔の横に来るほど霙の身体を折り畳み、そして丸見えになった霙の陰嚢にしゃぶりついた。

「ッア…!」

 熱くてぬるぬるする舌が、まるで飴でも舐め回すみたいにジュルジュルと音を立てて精巣を味わう。

 ぞくぞくぞくっ、

 荒い鼻息が勃ちもしない性器に掛かって、腰に痺れが走る。


 ジュプジュプジュプっ
 ぢゅぷぢゅぷぢゅぷっ


「ゃぁ…っ、っふ、ゥ…ッ!」

 いやいやとかぶりを振って懸命に美濃川の頭を押しやるが、力が入らないのかそれとも美濃川の力の方が純粋に強いのか。
 びくともせずに、美濃川は霙の柔らかな陰嚢を食み、吸い、舐め尽くす。

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