絡まる糸

09


 
 ぺちゃ…ちゅく、ちゅくっ…

「ん…っ、んん…」

 その音から逃げたくて、感触から離れたくて、肩が上がる。押し戻そうと伸ばした手は、けれどしっかりと捕まれて、ぐ、と蕾に玩具を押し当てられる。

「んんぅ…っ」
「遊糸…。父さんにちんぽ挿れられるのと、自分で玩具挿れるの、どっちがいい…?」

***

 ひく、と遊糸の躯が震える。
 愛しい子だ。
 静かに金茶色の髪を掻き混ぜてやると、子供のように両目を瞑る。かわいいかわいい息子の白い肌を撫で回す。滑らかで吸い付くような、いやらしい肌だ。
 全く、こんな淫らで男を誘う躯をして、朝は性欲旺盛な雄の群がる学校へ、夜は野獣ひしめく居酒屋でアルバイトなんて、危険極まりない。
 しかし、息子の自由を奪いたくはないのだ。

 だから遊糸。君に選ばせてあげる。
 君は自分の意思で、私に抱かれる。自分の意思で、私だけのものであることを選ぶ。そのためにだったら、なんだってしよう。そして、14年の空白を埋めるくらい濃密な時間を作ろう。

 用意しておいたローションを遊糸の蕾に塗りつけて、少し手伝ってやる。

「ひゃっ、ぁ…っ」

 どうも遊糸は、ローションの感触が苦手のようだった。処女のように腰が跳ねて、震える躯。
 ねっとりとした粘度の高い透明な液体が、橘の指にヒクつく蕾へと誘われる。激しいセックスを経験した後だというのに、遊糸のそこはほんのり赤みを帯びる程度で、綺麗な皺を伸ばしてやれば、熟れ切らない肉壁が奥に覗く。
 指の腹でそこを叩いてやれば、ぺちょっ、くちょっ、とはしたない音を立てて、遊糸の耳を赤く染めた。

「ほら遊糸。こんなに濡れてるんだ。挿れてごらん?」


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