「……世の中には表と裏がある。
表はあなたが今、生きている人間の世界。」

女の子は腕を組んで話し出した。

「…それは、暴力団とかそういう?」

 尋ねれば女の子は首を振る。

「それもまた表の、人間の世界。
…例えば、妖怪や幽霊、宇宙人。
そういった世の中に存在しないとされるものたち。彼らは確かに存在している。
そういう彼らの世界が裏の世界。」

 女の子は変わらず無表情でとうとうと語る。

「時に彼らは人間に憑依する。
そうして表の世界に干渉してくる。
あなたは何度も見てるはず。」

真っ直ぐに俺を射貫く藤色の瞳に動揺する。脳裏によぎる今まで見てきた「夢」の数々。

「あなたの目は完全憑依される前に被害者を見つけ出すことが出来る。
私達が求めてやまない力。」

 正直、女の子の話の半分は理解できてない。
ただ、日常が非日常になりつつあることだけは分かった。

「わたし、たち?」

 問えば女の子は懐からパスケースほどの大きさのプレートを取り出して俺に突きつけた。

「国際刑事警察機構事務総局特務分室。
非科学的なものに対する人類の最後の砦。」

 プレートに描かれた紋章がそれを証明しているのだろう、恐らく。

「国際刑事警察機構…確か略称はICPO、通称インターポール、だったか。」

 某怪盗を追っかけるとっつぁんがインターポールの所属だったはずだ。

「…その通り。我々はあなたを歓迎します。」

 そして女の子は俺に手を差し出した。



「――出来ればその手は取らないで欲しいな。」



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