「さぁ、アリス。
私たちと闘ってくれるかしら?」

「え、なにこの僕と契約して魔法少女になってよな展開。」

「…そういう発言は慎んでくれないかしら。知的財産権的にあまりよろしくないのよ。」

私としてはなんでこんな日本の大きいお友達向けのネタを知っているのか不思議でならないのだけれど。

「禁則事項です」

私の心の声にウィンク付きで答えるレイシーさん。


…あの、

「大人の事情的にそれもまずいんじゃ…」
レイシーさんは何も言わずににっこり笑った。…黒い。

「……で?具体的に何するんですか?」

 一連のネタを終えた私たちは話を元に戻した。

「そうねぇ…とりあえず、着替えましょう。」

「はぁ、何にですか?」

要領を得ない私にレイシーさんは笑顔。

「やっぱりアリスといったらエプロンドレスよねー。それにセーラー服じゃドンパチするのに防御性に欠けるでしょ?」

 ドンパチって…改めてレイシーさんの衣装をみてみる。

ふんわり丸いイメージの水色の半袖のワンピースの上からコルセットよろしく後ろできつく締められた茶色のベスト。

…確かに、ちょっとやそっとじゃびくともしなさそうなデザインではある。

しかし、常識ある現代人としてこの格好はかなり痛い。
コスプレかゴスロリのようだ。

「大丈夫よー。最初のうちは恥ずかしくて死ぬかと思うけどそんな感覚いつの間にか麻痺するから。」

レイシーさん、そんな遠い目で言われても説得力ないです。
というかこんな森の奥のどこに着替えがあるんですか。

「アリス、お忘れかしら?
ここは不思議の国よ?
望めば大抵のものは手に入るわ。
さあ、願いなさい!
魔法少女のごとく!」

「それってやっぱり
僕と契約しろって展開ですよ!」

「おだまりなさい!
それ以上言ったらいろいろするわよ!」

「……いろいろ?」

「ええ、いろいろ。
お嫁にイけない体にしてあ・げ・る」

「………スミマセンデシタ。」

 レイシーさんが本気でアブない目をしていたのでスライディング土下座。
アレはヤバいって。百合の花が咲くって。

 レイシーさんは少し残念そうにため息をついた。
私はほっとしています。マジで。

「さあ、願いなさい。貴女がこの世界で闘うために必要なものを。
貴女自身の力で。」

 …私が、この世界で闘うために必要なもの。

私は両手を組んで胸の前であわせる。
途端に私を中心に風が巻き起こった。
背中の真ん中まである髪が巻き上がる。

ここから先はプリ●ュアの変身シーンでも思い浮かべてくれたらいい。
こうポン、ポンってかんじで。

巻き起こった風がおさまって私は自分の姿を確認した。

「…………」

ああ、アリスだなって感じのふんわりしたスカートに、セーラー服みたいな黒い襟のブラウス、黒リボン付き。

背中は白いリボンで編み上げになっている。極めつけはちょい前まで流行ってた気がする白いウサミミカチューシャ。

「かわいい、かわいい。セーラーカラーのアリスはなかなか新しいわよ。よく似合ってるわ。」

レイシーさんは褒めてくれたけど私は正直へこんでいた。

「なんでこんなにフリフリしてんの…!」

「そこはそれ原作補正がかかって不思議の国のアリスっぽくなってるから。
フリフリレースはこれでもかってくらい付いてくるわよ。」

マジでか。私はもう一度ため息をついた。

確かにこれは恥ずか死ぬ。
もうやだ、帰りたいよママン。


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