見た目によらず怪力な君
「相変わらず細いよね、祐介は」
「なんだいきなり」
「その薄い体でよく長〜い刀振り回せるなあって思って」

祐介は、その身体の細さから貧弱そうというイメージが先行してしまい、どうしてもパーティー1怪力と言うことに実感がわかない夢乃は、じいと祐介を見つめる。

「イーゼルより重いもの持てなそうな見た目してるのに」
「…言っておくが」

ぐるりと世界が反転して、その視界の中央に影を落とす祐介を捉えた。

「細かろうが男だぞ。 夢乃くらい簡単に組み伏せられるさ」
「ぐっ……」

カーペットに縫い付けられた手はどう力を入れてもビクともしなくて、嫌なくらいに力量差を感じさせられる。そして同時に、華奢な見た目とは裏腹な男らしい力のギャップにとくとくと胸が高鳴った。

「ああそれと」

抵抗しても無駄なことは百も承知で手足に力を込めると、それを抑え込める為にぐっとかかる祐介の力が全身に快感となって離散し駆け巡る。
そんな様子を四つん這いで見下ろして、祐介は楽しそうな笑みを浮かべた。

「夢乃が何かと俺を焚きつけるのは、こういう事が好きだからだろう?」
「こ、こういう事って?」
「強引に組み敷かれる事、とか」

ちゅう、と唇を重ね合わせると、祐介はカーペットに縫い付けたまま指を絡め合わせる。 無理矢理口内に侵入して舌を絡めとると、呼吸も整わないまま口腔を蹂躙した。

「はっ…ん、んぅ…っ」

苦しい、と絶え絶えに息を漏らしながら全身に力を込めるも、当然それは彼に押さえ付けられてしまって意味を成さない。 しかしその無力感が己の情欲をそそった。

「…っは、ふふふ、ふふ、」
「…なっ、なん、で笑ってるの! なにも、面白くない…」
「いや、あまりにも甘美な表情をするものだからつい。 美しいと思って」
「嘘、ばかにしてるくせに」
「馬鹿にする訳あるか。 快楽に素直な夢乃の表情は何時でも俺の感性を刺激してくれる」

そう告げると首筋に歯を立てる祐介に、思わず嬌声が盛れる。

「…ふふ、痛いのも好きなのか?」
「………うるさい」
「ここは?」
「んあっ!…バカ!!」
「全く分かりやすくて愛らしいな、夢乃は」

一瞬の隙をついて彼を叩こうと腕に力を込めるも、その手はまた大きな手のひらに捕まってしまった。 圧倒的な力の差に為す術なく再び唇を塞がれ、その快楽に自分でも驚く位の甘ったるい声が漏れる。 鬱血しているであろう首筋がヒリヒリと痺れて心地がいい。彼の暖かな体温と大きな身体に包まれながら、獣を瞳に宿した祐介に身を委ねた。



…。



「き、君は本当に悪趣味だ…何でもかんでも口にして、デリカシーを覚えた方がいいんじゃない?」
「デリカシーなんぞより、俺の言葉で千変万化に表情を変える夢乃の方が俺には大切なんだ」
「…ばかにしてる?」
「愛らしいと褒めているんだ」
「ふ、ふーん…そう…」


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