可愛い弟

いつものように真選組へと出勤すると、バタバタと足音が廊下に響く。
急ぎで救護室のドアが開くもんだから、何事かとびっくりすると、総悟の姿。
どうしたの?と尋ねるとイキナリ飛びついてくるもんだから、椅子ごとひっくり返りそうになり、目を瞑る。


「大丈夫ですかィ?」


目を開けると、総悟のドアップ。
倒れる瞬間、総悟が抱き抱えてくれたみたいで、私は怪我ひとつなかった。
ありがとうと一言発し、体制を立て直す。


「ちっ、ちゅうしとけば良かったぜィ」

「こらこら。...で?そんなに慌ててどうしたの?」


尋ねると、患者席に座りむすくれる総悟。
頬っぺたをツンツンと突くが、返事はない。


「総悟...?」


気まずそうな顔をされ、私も戸惑う。
総悟の顔を覗き込むと、昨日話したんだろィ...?と尋ねられる。


「旦那とは...どうなったんですかィ?」

「...家族として過ごすにはまだ遠そうね」


私の一言に、総悟の目尻が下がったので
を撫でてあげると、いつものように抱きつかれた。どうしたの?と問いかける。


「うち...辞めねェよな?」

「うん、辞めないよ」

「もし...旦那とヨリを戻しても辞めやせんか?」

「うん、辞めない」


パァっと明るくなる総悟の顔。
そんな総悟の顔は、一番隊隊長の面影はなく、18歳の見せる顔だった。
気を張っていない総悟が可愛くて、私はついつい甘やかしてしまう。


「嫁子姉、旦那と別れてオレにしなせェ」

「年が離れ過ぎよ。総悟が成人したら、私おばさんだよ」

「そんな事ありやせん!嫁子姉はキレイだからねィ」

「...ありがと、総悟」


世間ではサディスティク王子やらなんやら言われているが、本当はこうやって、私を気遣ってくれる優しい子なのだ。
いずれ、総悟も彼女が出来、婚約者を連れてくる事になるのかと思うと、なんとなく切ない気持ちになった。
って、私お母さん!?


「将来は、副長確定だからねィ。安泰でさァ」

「楽しみにしてる」




(あれ?総悟が副長になったら...土方さんは?)

(へっ...神のみぞ知るってヤツでさァ)

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