銀ちゃん

今夜、嫁子が来る。
ガキ共には大人の真剣な話は聞かせられねェと、神楽を新八の家に預けた。

嫁子...マジで離婚とか言わねぇだろうな。とか考えつつ、夜に嫁が来ると言うことにドキドキなオレ!!

てか、これ離婚とか以前に仲直りセックスフラグじゃねぇ!?
この前邪魔しやがった猿は、簀巻きにして捨てたし、もう邪魔は入らねぇはずだ!!

マジな話をされるっつーのに浮き足立つオレ。不謹慎だって事は銀さんも分かってんだよ?だけどさ、久しぶりに惚れた女と夜を過ごすと思うと、もう一人の息子が脈打ったって神様も許してくれんだろ!!

そんな事を考えていると、家のチャイムが鳴り響く。
いそいそと、玄関に足を延ばすとオレの惚れた女の姿。
ヤベェ、顔がニヤついちまうぅう!パチンと頬を叩き、顔を引き締める。


「よぉ、昼間は悪かったな」

「...収集つけるの大変だったんだからね」


あれ?意外と機嫌よさそうじゃね?
つか、久しぶりに話せるのが、本気で嬉しいなんて思ってるオレ。
ソファに腰掛けるように促し、オレもソファへと座る。


「ご、ごほん。この前の女の話だがなァ」

「銀ちゃんのストーカーの話でしょ...?あれ、本当だったんだね」


近藤さんが、ストーカー仲間だって言ってた。と言葉を続ける嫁子。
つか、ここで銀ちゃん呼びはヤベェって。昔に戻れた感じがして嬉しいんですけどおぉお!

嫁子は、昔っから銀ちゃん呼びだったのに、結婚してから、人前では銀時と呼ぶようになった。神楽から銀ちゃんと呼ばれてもなんともねぇのに、何?なんなのこの破壊力ぅううぅ!!


「ま、まぁ。そういうこった。オレはいつでもお前の事しか考えてねェ」

「銀ちゃん...」


やめてぇ、やめて嫁子ちゃぁあん!!そんな甘えた声でオレの事呼ばないでぇええ!


「オレ的には、真選組を辞めて、ここに永久に就職して欲しいわけだ...前みたいによ」

「...」

「あの頃より、従業員が増えて騒がしいったらありゃしねぇけどよ。お前さえよければ...な?」

「銀ちゃん...」


あれ?これ、キスしていい感じじゃね?
つか、今すぐ抱きしめてぇ。つか、抱きしめる。
ギュッと抱きしめると、照れたように笑う嫁子の顔。
はい、これ無理ー。止まれる気がしねぇえ!


「あ、あのね。銀ちゃん...」

「嫁子...。少し黙ってろ」


唇を寄せると、ちょっと待ってと唇より先に嫁子の指先が触れる。
ちょっとちょっと嫁子ちゃぁあん!
いつからそんなに焦らし上手になったの!?


「私が出て行った時...何て言ったか覚えてる?」

「あ、え?」

「私...銀ちゃんがお金稼げるようになるまで、家には帰らないって...言ったんだよ!!」


バチンと響く音と共に右頬に痛みが走る。


「ちょっとちょっと嫁子ちゃぁあん?それはないんじゃないの!?せっかくの夫婦水入らずにさァ!!」

「銀ちゃん、ちっとも変わってないじゃん。お金稼げないと、子供も作れないし、老後もどうなるか分からないんだよ?」

「い、いやさ、その、嫁子の言いたい事はよっく分かる!」

「分かってないよ!...銀ちゃん。私ね、銀ちゃんとの子供...欲しいの」

「今から作りましょう!!」


バチンという音と共に、今度は左の頬に痛みが走る。


「私の稼ぎは、銀ちゃんの倍以上...男として恥ずかしくないの!?」

「これから、絶対これから頑張るから!!戻って来てください!!」


土下座するオレに嫁子がオレの頭を撫でる。
顔をあげると、すげぇ可愛い笑顔が視界に映るった。


「...半年待ってこの有様で信じられるかバカヤロー」

「嫁子ちゃん...辛辣」

「あと半年...猶予をあげる」

「猶予?」

「それまでに、私が納得いくくらいの結婚指輪を頂戴」


それができなかったら...の後は聞きたくなかった。


「分かった。腰抜かすくらいの指輪を用意してやるよ」

「楽しみにしてる」


可愛い笑顔の後、すたすたと玄関に足を伸ばす嫁子。
え、ちょっと待って!?まさか帰ったりしねェだろうな?せっかく神楽を追い出したってのによぉお!!


「えっ、ちょっ、帰んの!?」

「うん。セックスは、指輪くれるまでお預け」

「指輪買えるように身を削って働くので、抱かせて下さいぃい!!!」


ふふっと笑うと、嫁子からの不意打ちのキス。


「やっぱ、銀ちゃんには甘いんだよね。私」


あぁ、もう。
大好きだ、コノヤロー。

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