【フリリク】ドキドキ☆夏の肝試し〜お漏らしもあるよ!〜H

なんて、一人テンパっている時。
いきなり腰を掴まれ、「ぎゃあっ!」と飛び跳ねた俺は慌てて店長の手を掴んだ。


「な、なななな、なにやってんすか…!」

「なにって、脱がしてやろうとしただけだ。なんだ?なにを想像したんだ?まさか『そのままでは辛いだろう』と気遣った人の好意を邪なものと勘違いしていないだろうな」

「よっ邪も何も……」


店長の存在自体邪ではないのかと言い返しそうになり、俺は口を噤んだ。
店長の言葉も一理あるし、だとすれば俺は勘違いなんちゃってむっつり野郎になる。
そもそもこの状況でなにを言ったところで格好付かないわけで。


「まあ、そのままでいたいなら好きにすればいい。…因みに俺はそういう趣向も嫌いではないから安心しろ」


何一つ安心できないのが店長クオリティ。


「…うぅ」


素直に言うこと聞くのも癪だが、だからといってこれじゃ気持ちが悪い。
店長がいなければ即脱ぐのだが、というかそもそも店長がいなければこんなことにならなかったのだろうがその辺はもうこの際どうでもいい。

でも、やっぱりこのままは耐えられない。


「お、脱ぐのか?」

「あ、あっち見ててくださいよ!」

「一々照れるな。貴様の色気のないストリップショーを見ても変な気すら起きない」


む、むかつく。それはそれでむかつく。なぜだ。
挑発とはわかっていても真に受けてしまうのは性なのだからどうしようもない。
くるりと店長に背中を向けた俺はそのまま潜れるようにして履いていたものを脱いだ。
案の定下着までぐっしょり濡れている。

……最悪だ、何回言っても足りない。最悪だ。


「随分と我慢していたのだな」


下着まで脱ごうか迷った矢先のことだ。
すぐ背後から店長の声がして、ぎくりとしたときにはもう遅かった。


「ぅ、わ」

「男性用吸水性伸縮性ばっちり万能プレイ用紙オムツでも履くか?勿論給引きだが」


ぬっと伸びてきた白い手に下着のウエストをぐいっと引っ張られ、慌てて俺は店長から離れようとする。けど、抱きすくめられるように体重を掛けられれば引き離す事ができなくて。


「オム…っ、い、いりません!そんな、」


もこもこした紙オムツ履くくらいなら開き直ってノーパンどころか全裸で町中徘徊した方がましだ。あ、ちょっと待ってやっぱりどっちも無理だごめんなさい。


「遠慮するな、どうせ誰かは漏らすだろうと思って発注しておいたんだ。まさか、こうも早く使うときがくるとは思わなかったけどな」


履く前提かよ!……って、ちょっと待った。店長のその言い方ではまるで、


「て、店長…知ってるんですか、噂」

「噂?」

「店に、なんか女の人の霊が出るって」


「店長、もういいですよ」


不意に聞こえてきたどこか高揚のない声に俺は口から心臓が飛び出そうになるのを必死に堪え、そして声のする方を見た。
そこには髪の長い女……じゃない、その骨格はどうみても男だ。というか、こいつは。


「司っ?!」

「どうも、原田さん」


ずるりと被っていたカツラを脱ぎ捨てた司は相変わらずの調子で小さく会釈する。
対する俺はそれに返す余裕はなくて、自分の姿と情けないことになっている下着のことを思い出し、咄嗟に手で隠したが勿論遅い。

mokuji
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