【フリリク】ドキドキ☆夏の肝試し〜お漏らしもあるよ!〜F おいおいおいおい、足音だよな…多分。嘘だろ。冗談だろう。なんだよこのタイミング。嫌がらせかよ。いや、でももしかしたら笹山という可能性もあるし…。 行きたくないけど、早く帰りたいけど、もし笹山だったらと思ったら一人きりという今の状況を打破することもできるし、もし違ったら……。 悩んでいる矢先、足音は近付いて来る。 かつりかつと、着実に、こちらへと。 「……ッ!……ッ!」 くそ、なんで俺がこんな目に。 歯をきつく食い縛り、全身に力を込めた俺。 半分くらいヤケクソだった。 なるべく足音を立てないように俺は、足音の聞こえる奥へと進む。 ゆっくりと、まるで忍者かなにかのように息を潜めて。 幽霊なんか居ない。科学的に考えて思い込みによる脳が起こした錯覚の一種であるからにしてこういうあれはあれなわけであれなんだとにかくいないものはいない!怖くない! 必死に頭の中で繰り返し、薄暗い店内を突き進む。 店内、職員通路へと続く扉の前。 再奥までやってきたはいいが、先ほどまで聞こえていたはずの足音が聞こえない。 もしかして、どこか間違えたか? いやでも、確かに足音はこちらから……。 「おい、貴様なにをしている」 「びゃあああ!!!」 瞬間、掛けられる声に雷が落ちたかのような衝撃が背筋を突き抜ける。 聞こえてきたその偉そうな声が聞き覚えのあるものかどうかなんて判断するよりも先に、一気に全身の筋肉が弛緩した。 そう、弛緩したのだ。 |