【フリリク】カナちゃんと笹山君M


「も、やだ、やめろってば!」

「ですが、中に出してしまったのをそのままにしておくのは…」

「いい、いいってば、自分でするからっ」

「自分で?」

「……ぅ」


なんで拒否られてんのにそんなに嬉しそうなんだよ、こいつは。

散々犯され、腰に力が入らずぐったりとなる俺とは対照的にどこか活き活きとしだした笹山になんだかもう俺は抵抗する元気もなく、後処理を自ら率先する笹山に抱かれたままもうどうにでもなれと開き直ろうと思うが、やはり、状況が状況なだけに落ち着かない。


「では、失礼します」


ソファーの上、座る笹山の上に向かい合うように跨らされた俺は臀部に伸びてくるその手にぴくりと反応する。


「…早く、しろよ」


まだ情事の熱が冷めきっていない今、下手に焦らされたらたまったもんではない。

笹山の指をぎゅっと握れば、笹山は少しだけ笑った。
そして、応えるようにブルマのウエストを掴み、そのままゆっくりと下ろしていく。
ぬちゃり、と音を立て精液が零れた。
この生々しさによる羞恥は最早拷問レベルではないだろうか。着せられた時よりも脱がされる時のが恥ずかしいってどういうことだよ。


「せっかく用意したんですが、これはもう洗った方がよさそうですね。…すごい汚れてます」

「だっ、誰のせいだと……!」

「そうですね、すみません。俺が原田さんの中に…」

「いっ、いいから!言わなくていいからっ!」


なんて言い合いながらも、するりとブルマを脱がされる。
ぬちゃぬちゃしたままよりは遥かにマシだが、元より下着を身に着けていない俺は下裸になってしまうわけで。

……すーすーする。
必死になってジャージの裾を引っ張り、せめて笹山には見えないようにと隠すがその代わりにケツがはみ出て大変なことになっているに違いない。
なんて思うと今更になっていいしれない気恥ずかしさがこみ上げてきた。


「うぅ……っ」

「そんなに隠さなくても大丈夫ですよ。俺しかいないんですから」

「お前がいるから隠してんだよ…!」

「それは…お気遣いありがとうございます。確かに、隠された方が無理矢理暴きたくなりますしね」


な、なにを言ってんだこいつは。
さすがの俺もドンびくぞ。

さらりととんでもないことを口にする笹山。本人にしては冗談のつもりなのだろうが笑えない。リアルすぎて笑えない。
青ざめ、笹山と心の距離を置こうとした時、「あ、原田さん」と思い出したように笹山は俺を見上げた。


「こんなこともあろうかとついでにスク水も持ってきてたんですがよろしければ」

「ああ…悪い……っておい!いらねえよ!どさくさに紛れてなに渡してんだよ!つーかどこに隠してたんだよ!」

「念のためと思いましてポケットに」


笹山お前…店に笹山の汚れのない笑顔目当てで来ている女客がポケットからスク水はみ出した笑顔のお前を見てどんな顔をするか考えてもみろよ…流石に同情するぞ俺も…。
突っ込むのが馬鹿馬鹿しくなって、「着ない」とそっぽ向けば、笹山は困ったように眉を寄せる。


「原田さん、背に腹は変えられないと言うじゃないですか」

「そ、そうだけど…流石にこう、越えちゃいけないラインというものがあってだな…」

「そうですか、それなら仕方ないですね。じゃあまたの機会ということで」


よろしくねえよ。


「それじゃあ、シャワーで汗でも流しましょうか。お互いドロドロですしね」


気を取り直した笹山の提案に、なんとなく気は進まなかったがまあ確かにこのままでいるよりかはひとっ風呂浴びたい気分だ。
「あぁ」と頷き返し、まともに立てない俺は笹山に支えられるように簡易のシャワールームへ向かったわけだけども…。


「いやーさっぱりしましたね」

「ああ、やっぱり一汗掻いたあとのシャワーは最高だよな!」


なんて汗と精子とともに数十分前のことを水に流した俺達。
笹山に手渡されたタオルを受け取り、ほくほくとしながら体を拭いている俺の横、同様ほくほくとした笹山はどこからか取り出した綺麗なパンツに履き替える。
そう、綺麗なパンツに。
ボクサータイプの、ちょっと悪趣味な柄の綺麗なパンツに。

………………………………パンツ?


「……おい!おいおいおい!」

「どうしたんですか?」

「どっ、そのパンツ……」

「ああ、夏場はよくシャワー浴びるんでこっちにいくつか置いてたんですよ」

「なっなんで、それ、渡してくれなかったんだよ…っ」

「え?もしかして、原田さん俺のパンツ履きたいんですか?」


わなわなと震える俺に、笹山は驚いたように目を丸くする。
……なんかその言い方は語弊があるような気がしてならない。


「や、履きたいっていうか、スク水とかブルマよりは」

「嬉しいです、原田さんの方からそう言っていただけるなんて」


ぱああと目を輝かせる笹山に、ぞくりと寒気が走る。いつもなら癒される嬉しそうな笹山の笑顔が、今はただひたすら恐ろしい。


「あっ、や、やっぱいい…」

「では、俺の方から履かせますよ。足、出して下さい」

「いいっ、いいから!」


そう強く拒否れば、びくりと笹山の肩が跳ね、みるみるうちに笹山の表情から笑みが消えていく。


「……やっぱり、嫌なんですか?」


ショックを受け、しょんぼりと眉尻を下げる笹山は不安そうな目で俺を見上げた。
あまりの項垂れようにないはずの犬耳としっぽががだらーんと垂れている幻覚が視界に現れる。


「えっ、あ……………………お願いします」

「流石、原田さん」


固まる俺に、さっきまでの落ち込みは嘘のようににっこりと微笑む笹山になんだかもう俺は笹山の嬉しそうな笑顔を見れたらそれでいいと思う。現実逃避。


おしまい

mokuji
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