【フリリク】カナちゃんと笹山君C

笹山がいなくなって俺は言われたとおりに大人しくしていた。
勿論、いつ誰が来るかわからない休憩室だ。
適当なタオルケットと膝にかけ、下半身ごとスカートを隠してしまえばなんとかなる。
これであとは笹山が帰ってきたら楽勝だな。
なんて他力本願に怠けつつ、ごろごろしながらテレビを眺めていた時だ。
休憩室の扉が開く。


「あ、かなたん発見ー」

「っぁ、き、紀平さん」

「なにやってんの?こんなところで。店長探してたよー?サボり?」


開いた扉から現れたのは紀平さんだった。
よりによってこんな時にと内心冷や汗を滲ませつつ、俺は「いや、その、具合悪くて…」と顔を引き攣らせながらじりじりと後ずさる。
座るソファーに近付いてきた紀平さんは「ふぅん」となんでもないように呟き、そして、そのまま隣に腰を掛けてきた。

そして、


「で、なに隠してんの?」


誤魔化せただろうか、と安堵した矢先のことだった。
言いながら、タオルケットを紀平さんに奪われる。
瞬間、外気に触れた下半身に嫌な寒気が走った。

一瞬の出来事に対応に遅れ、「あっ」と慌ててスカートを隠そうとした時にはもう全て手遅れで。


「ああ、なるほどね。…そりゃ、店内行けないねーこんなんじゃ」


俺の足に目を向けた紀平さんは寧ろどこか楽しそうににやにやと笑う。
見られてる。
ねっとりと絡みつく視線に耐え切れず、真っ赤になった俺は紀平さんの持つタオルケットを取り返そうとする。
しかし、間一髪のところで避けられ、バランスを崩した俺はそのまま紀平さんの上に倒れ込んだ。
慌てて離れようとしたけど、腰を掴まれ、紀平さんの上から動くことが出来ない。


「かっ、返してください」

「えー?どうしよっかなぁ」


相変わらず、にこにこと爽やかな笑みを浮かべた紀平さんは言いながらスカートの中、内腿を撫で上げる。
ぞぞぞと嫌なものが背筋に走り、つい内股になってしまった。
紀平さんは更に目を細める。


「せっかくこんな面白いもん見付けたのに、引っ込ませてんのも勿体無いよねえ?」

「なに…」


言ってるんですか。
そう、揶揄するような紀平さんの言葉に眉間を寄せた時、腿の付け根まで這い上がってきた紀平さんの指が薄地の下着に触れ、そのまま摘むようにそれをずり降ろしてくる。


「ぁっ、や、なに、紀平さん、やめてくださいい…っ」

「だって、ほら、こんなのかなたんには要らないでしょ?」

「っや」


スカートの上から下着を抑えようとするが、片方の手で手首を取られてしまい、そのまま強引に下着を足首まで脱がされた。


「ちょ、やめ、ダメですってば…っ!」


ただでさえこんな格好で変態じみているのに、パンツまで盗られたらなんとか保っていたギリギリのラインをぶっ超えてしまうじゃないか。
すーすーと風通しが良くなる下半身に、とうとうスカートを押さえ付ける手が離せなくなってしまう。
これじゃ、変態みたいじゃないか!女子高生と交流を測るためとはいえ、うっかりポロリなんて笑えないぞ!
言いたいことはあったのに、少しでも動いてしまえば中が見えてしまいそうで、俺はソファーの上、縮こまる。


「あはは、すごい真っ赤だね。さっきよりも、こっちのが色気あっていいよ」

「……っ」

「返して欲しかったら、店内まで取りにおいで」


そう言って、俺の足からパンツを引き抜いた紀平さんは笑いながらそれを仕舞う。
ちょっと待って、普通にはみ出てるからポケットだけはやめてくれ。せめて人目につかないところで保存していてくれ。


「きっ、紀平さんの、馬鹿…っ」


下半身が寒すぎてちんこひゅんひゅんするしスリル満点とかそんな次元じゃなくて、切羽詰まって焦れば焦るほど頭がぐちゃぐちゃになって、結果、言葉が拙くなってしまう。
こればかりはどうしようもない。
しかし、そんな俺の反抗的態度は紀平さんのお気には召さなかったようです。


「そんな口聞いちゃうなら、これ、燃やしちゃおうかな」

「ご、ごめんなさい…っ燃やさないで下さい…!」


満面の笑みでライターを取り出し、小首傾げる紀平さんに青褪め、慌てて懇願する。
紀平さんはにっこりと微笑み、そして、ソファーから立ち上がった。


「じゃ、頑張ってね」


それだけを言い残し、紀平さんは人のパンツを持ち去った。

mokuji
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