【フリリク】病み気味紀平とI

それはまずい。
だって、卵くらいのが入ってるってだけでも苦しいのに、そんな。そんな無茶苦茶な。
やめてください、やめてくださいと泣きそうになりながら脚をバタつかせるが、両足を閉じれられないよう無理矢理M字に開脚させられ、潰れたカエルみたいな自分の格好になんかもう死にたくなる。
慌てて脚を閉じようともがいた矢先、ケツに違和感。
どうやら、一歩遅かったらしい。
恐る恐る視線を自分の下腹部に向ければ、自分の肛門に宛てがわれる勃起した性器が視界に入り、顔が熱くなった。

そして、次の瞬間。
わなわなと震える俺を笑った紀平さんは、そのまま逃げようとする俺の腰を掴み、既にローターを飲み込んだそこに自らの性器をねじ込む。


「ひ――っ!」


みちみちみち、と緊張で閉じていたそこに割って入り込んでくる肉厚に息が詰まった。
痛み、というよりも息苦しさ。
苦しくて、怖くて、痛くて、ぎゅうっと目を瞑った俺は押し潰されないよう必死に紀平さんにしがみつく。
嬉しそうに目を細めた紀平さんは息を吐くように笑い、そのままズッズッと腰を進めてくる。
先ほどの残った精液がいったお陰か、挿入は次第にスムーズになるが、それが俺にとってはいいのか悪いのか最早わからない。
奥に入れられたローターの紀平さんのが腹ん中でぶつかった時、その衝撃に全身が跳ね上がる。


「やっぱ、きついなぁ。これ入り」


ぼやく紀平さんは乾いた唇を舐める。
そんなの、入れる前に気付けよ。と突っ込みたかったが、最早言葉にならない。
反省して抜くかと思いきや、それどころか紀平さんはリモコンを握り直す。
もしや、まさか、嘘だろう。
俺が慌ててリモコンを取り上げようとした瞬間だった。
カチリ、と小さな音がすると同時に、体内奥深くに挿入されたそれは勢い良くうねるように振動し始めた。
激しく内壁を擦り上げられ、堪らず、腰が痙攣する。


「っあ゙、うそ、やっ、待っ、抜いて、抜いて下さいっ!」


下半身が別の生き物みたいにうねる。
慣れない感覚が怖くて、悲鳴を上げれば紀平さんは振動を更に大きくした。
あまりの圧迫感に目を見開き、「ぁあっ!」と声をあげれば、紀平さんはリモコンから手を離し、そして、跳ねる俺の腰を掴む。
そして、そのまま腰を進める紀平さんにぐりっとローターを押し込まれ、頭が真っ白になった。


「あらら、ごめんねー。抜いてあげたいところなんだけどさ、奥まで行っちゃって無理そうなんだよね、っこれ」


お前が突っ込むからだろ!としか言い用がないのなだが、構わず腰を動かし内壁全体を無機物と性器で刺激されればもうなにがなんだかわからなくなって、ただ逃げるようにもがくことが精一杯で。
ごりごりと腹ん中でぶつかるそれに続々と背筋が震え、腰が跳ねる。
僅かに頬を蒸気させ、息を吐きだす紀平さんは楽しそうで。
わざとローターを捩じ込むように奥を突き上げられれば突き上げられるほど、普段触られることがないところまでやってくるローターが怖い反面、手が届かないところに届くということが快感で、頭がおかしくなりそうだった。


「ぁっ、やだ、紀平さん、お腹が、お腹がぁ…っ!」

「あはっ、これ、ゴリゴリしてきもちーね。…っ、結構、ハマりそう」

「はっ、ぁ、…らさん、きひらさん…っも、助けて…っ助けてください…っ」


夢中になって腰を振る紀平さんに、飛びそうになりながらも必死に意識を取り留める俺は振り落とされないように紀平さんの背中に腕を回し、腰をぐっと寄せた。
先程まで笑みを浮かべていた目の前の紀平さんの顔が歪む。
そして、体内に埋め込まれ、乱暴に出し入れされるそれが大きくなったのが分かり、
ぎょっとした。
紀平さんは悔しそうな顔をする。


「…っだからさ、なんでそういう真似するかな。そんな顔されちゃ、優しくできないって言ってんだろ…っ」


逃げないようにしっかりと腰を掴まえられ、激しく腰を打ち付けられる。
吐き捨てるような声が蕩けかけた脳味噌に染み渡り、ただただ余裕がなくなったような紀平さんの態度が愛しく思える反面、受け止め切れず、全身が悲鳴を上げた。
それでも、その苦しさや重圧が心地よくさえ思えてしまう。
末期なんて、とっくに通り過ぎてるのかもしれない。


「ぁっ、はぁっ、あっ、きひらさっ、やっ、も、ゆっくり…ぃ
っ!」


軋むソファー。
ここがどこだってことは頭になくて、ただ、目の前の人に懇願する。
動けば動くほど腹の中で暴れる球体に内壁を大きく抉られ、腰が動く。
眉を顰める紀平さんは俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか、ただ、掴まれた両腿に紀平さんの指が深く食い込んだ。


「あっ、や、怖いです、紀平さんっ、やだ、ぁ、紀平さんっ、きひらさ…んんっ」


言い終わるより先に、唇を塞がれる。
啄むように唇を抉じ開けられ、黙らせるような強引な動作で挿し込まれた舌に俺は吸い付いた。
混ざり合う唾液。
息苦しさを紛らすように、夢中になって俺は紀平さんの背中にしがみつき、キスに堪える。
その間もピストンは止まらなくて。


「っん、ぅむ、ふ…っんぅ…っ!」


唇と下腹部、上下から流れ込んでくる紀平さんの体温を直接感じ、まるで夢を見ているようだった。
酸欠、体力消耗による疲労、過度の刺激による意識の朦朧。
実際、夢のないようなものでも構わない。
今はただ、何も考えることが出来ないようにこの快感に流されてしまいたかった。
息が苦しくなって、頭がクラクラする。
ぼんやりしながら紀平さんを見つめていると、不意に視線が絡み合い、そして、唇が離れた。
糸を引く唇が濡れていやらしい。


「きひ、らさ…っ」

「…ん?」

「んっ、もっと、もっと、きす、して…くださ……ぁあっ、ぁ、んん!」

「っは、も、かなたん…まじで…っ」


「そんなの、反則だからっ!」と声を荒げる紀平さんの顔は心なしか赤くなっていて。
それが酸欠によるものか、それともただ単に運動のためなのかわからなかった。
体内を出入りする性器が大きくなり、それどころか、ピストンは激しさを増す。
これは、まさか。


「やっ、激し、ぁ、だめ、きひらさ、中はダメですっ」


ローターが防水かどうかわからなかったが、流石に直接精液ぶっかけたらあれじゃないのか。危ないんじゃないのか。
このまま中で出す気満々の紀平さんを慌てて止めようとするが、紀平さんはというと舌打ちをして俺を睨む。
え、ちょ、怖いです。


「なぁ、そんなセリフどこで覚えてきたんだよ。っ、まじでやめてくんないかな」


怯んで、身を竦める俺はその言葉にびくりと緊張する。
逃げ腰をぐっと抱き寄せられ、再奥、ローターが震えるそこで性器は動きを止めた。
そして、紀平さんは笑う。


「っ、本気で、孕ませたくなっちゃうじゃん…っ」

「っ、ぁああっ!」


次の瞬間、破裂したかのような勢いで奥へと流れ込む熱に堪らず俺は絶叫した。
どくどくと止まらない精液に、腰がピクピクと震える。
体内でローターがぐちゅぐちゅと精液を掻き混ぜ、淫猥な音が腹の中で響いた。
息を求めるように口を開閉させる俺に、肩で息をする紀平さんはそのままそっと俺の額に唇を寄せた。
先程までの激しさはなかったものの、紀平さんの唇が触れたそこはどこよりも熱く、甘く疼いた。


***



「これだから、やなんだよねぇ。男相手に本気になっちゃうの」


「面倒くさいなぁ」


「でもさ、だってさぁ、可愛すぎるんだもん。ねぇ?…かなたん」


「部屋に閉じ込めて飼えたらいいのになぁ」


「あは、冗談だってば。冗談」


「…うん、冗談だよ」





お粗末さまでした!

mokuji
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