【フリリク】病み気味紀平とE 「や、やだ、紀平さん」 くちゅくちゅとわざと音が出るように触ってくる紀平さんの意図が分かり、それでも止めさせることが出来ないもんだからなんだかもう頭がおかしくなりそうだった。 絡み付いてくる長い指に濡れた音を聞かされ、腰がピクピクと痙攣する。 力を振り絞っていやいやと首を横に振りながら紀平さんの腕を縋るように止めれば、俺の思いが通じたのか紀平さんは性器から指を離した。 そして、俺の顔を覗き込む。 「かなたんはさぁ、舌と指、どっちが好き?」 なにを聞いてくるんだ、この人は。 べ、と舌を出し、俺の精液で濡れた指先で自分の舌を摘む紀平さんに顔を赤くした俺は狼狽えながらも首を横に振った。 「どっちもや、です…っ」 「そっかぁ、そりゃ残念」 そういう紀平さんはさして残念でもなさそうで。 その代わり、ズボンのポケットからじゃらりとなにかを取り出した。 「なら、かなたんはこっち派かなぁ」 そう言って、手のひらに乗せたそのなにかを見せてくる紀平さんに思わず「ひっ」と息を呑んだ。 鮮やかな色の手のひらサイズの楕円形のリモコン付き玩具には見覚えがあった。 ローター。 そんな名前が脳裏を過ぎった。 「そ、それ…」 「かなたんが我儘さんだからさぁ、ははっ、どーせ使う日が来るかなぁって持ち歩いてたんだけど正解だったかな」 「も、持ち歩いてたんですか!」 「え?寧ろかなたん持ち歩かないの?」 なんだその反論は!持ち歩かねーよ!可愛く小首傾げんな!などと言いたいことはいろいろあったが、このタイミングでそれを取り出した紀平さんに嫌な予感がして、青ざめた俺はぱくぱくと口を開閉させる。 そんな俺を他所に、ローターに軽く口付けをする紀平さんは笑った。 「あ、かなたんには必要ないか。俺が持っとけば」 どういう意味ですか、それは。 そう、問いかけようとしたが、言葉にならなかった。 そして、その言葉の意味はすぐに理解する。嫌でも、理解させられた。 |