【フリリク】病み気味紀平とB ぬちゅ、と音を立て体内に入り込んでいた数本の指がずるりと引き抜かれる。 拍子に、指の腹で中を擦られ、思わず「ぁ、」と息を漏らした時。 目の前に迫る紀平さんと目があった。 「舌、出して」 吐息混じりに囁かれ、何も考えたくなかった俺はただ言われるがまま口を開き、恐る恐る舌を突き出した。 「…ん、ぅ」 出しました、と紀平さんを見上げる。 しかし、紀平さんはなにをするわけでもなくにやにやとこちらを見下ろすばかりで。 開きっぱなしになった口から唾液がだらだらと溢れ、拭うこともできずにそれは顎先へと落ちていく。 きっと、紀平さんから見た俺の顔は酷いことになっているに違いない。 それを考えたら顔が熱くなって、なんだかもう泣きたくなった。 「き、ひらしゃ…」 「ごめんね。かなたんがあんまり素直で可愛いもんだから、つい」 つい、なんなんだ。 舌を出したまま、それを引っ込めることも出来ずにいる俺にそう笑う紀平さんはそのまま噛み付くように唇を重ねてくる。 びく、と後ずさった時には遅く、舌もろとも紀平さんに咥えられた。 「っふ、んん、ぅん…っ」 逃げようとする舌を捕まえられ、噛まれ吸われ、絡められ、口内に響く濡れた音と奇妙な感覚にぞくぞくと全身が震えた。 なんとか引っ込めることに成功したと思えば、すぐこちらの口内へ滑り込んでくる紀平さんの舌に根本から愛撫され、舌についたピアスがひどく冷たくて、舌を掠める度に脊髄が蕩けてしまいそうなそんな甘い感触を覚える。 全身から力が抜けそうになって、紀平さんに抱き抱えられた。 ようやく舌が引き抜かれたと思えば、開きっぱなしで舌を弄ばれてるせいか先程よりも多く溢れる唾液を舐め取られ、情けなさ諸々でますます顔が熱くなった。 「っぁ、も…俺…っ」 「なぁに?」 「我慢…できません…っ」 「我慢って何?」 「〜〜〜っ、きひらさん…っ、い、いじめないで下さいぃ…っ!」 涼しい顔してしらばっくれる紀平さんに、いつもの俺なら憤死確実だと分かっていたがまた勃起してしまった今頭は気持ち良くなることでいっぱいになっていて。 散々指で掻き混ぜられ、慣らされた尻からローションが滴るのを感じ、更に鼓動は早くなる。 焦れったくて、腿を擦り合わせながら紀平さんの腿に手を置いたとき。 そのまま手首を掴まれた。 引き剥がされ、びくっと震えながら紀平さんを見上げれば、こちらを見下ろす紀平さんと目が合う。 「やだな、誰に仕込まれたわけ。俺、かなたんをこんなはしたない子に育てた覚えないんだけど」 淫乱、と紀平さんの口元は笑う。 その一言に自分の取ろうとしていた行動を思い出し、どくんと心臓が跳ね上がった。 「ちがっ、おれ、紀平さんだから…っ」 「またそーやって煽ってさぁ。ずるいよね、なんか。かなたんばっかり」 蕩けかけた脳みそでは紀平さんの言葉の意味を理解できなくて、どういう意味かと疑問符を浮かべた時、紀平さんにぐっと腰を抱き寄せられる。 紀平さんの腰に跨るような体勢にぎょっとしたときだった。 すぐ背後からジッパーを下ろす音が聞こえて、尻の割れ目に硬い感触が当たる。 後ろを振り返らなくても、それが何かはすぐに分かった。 バクバクと脈が加速し、思わずごくりと固唾を呑む。 「…っぅ、あ」 「どうしたの?挿れて欲しかったんだろ、これ」 濡れた肛門に先端を宛てがわれれば、くちゅ、と濡れた音が立つ。 硬く、熱を持ったそれに全身の血液が沸騰するみたいに熱くなって、自然と息が乱れ始めた。 焦らすように、入りそうで入らないよう窄みを撫でるそれに俺は恐る恐る頷く。 「あっ、あのっ、きひらさ、ゆ…ゆっくり…」 恥ずかしくてたまらなかったが、今はただなにも考えないくらい気持ちよくなりたかった。 上目に紀平さんに縋れば、紀平さんはおかしそうに笑う。 「そうだね、…善処するよ」 そして、俺は紀平さんの『善処』が全く当てにならないことを知る。 |