2013.11.10.Sunday

何だか幼い子が沢山いるなぁ、と思いながら陰陽科の生徒、坂田 金次は次の授業が行われる教室を目指して廊下を歩いていた。
周囲には困惑する小さい生徒達がいる為か、可愛らしさに顔が綻んでいる。

(こんなに幼等部の子っていたっけな?)

やや首を傾げながらも、足は目的地を目指す。
するとその途中、見慣れた姿の人物が彼の目に飛び込んできた。
その人物に向かって大きな声をかける金次。

「あ!おーい、威綱ー!!」

「…金次か」

一度足を止め、くるりと振り向く威綱。
その彼のもとへ駆け寄る金次だが、威綱の手にしている武器の先端にぶら下がっているものに気付く。

「あれ?威綱、一体何を槍尻にぶら下げて…って…えぇと、もしかして。…た、武?」

「…そや」

明らかにむくれた顔をした少年は、宙ぶらりんになりながらぶっきらぼうに返事をした。
幼馴染みの小さい頃の姿を知っている金次は、その少年が武とすぐに分かったが今一つ懐疑的だった。
しかし顔つきや声色、話し方はよく知っている彼そのものだ。
金次は大層驚きつつも威綱に訊ねる。

「えぇぇ!?何で!?威綱っ、何で武が小さくなってるんだ!?」

「…保健医が、何やら怪しげな薬を撒き散らして歩いているらしい。こいつはその薬を浴びたらしいな」

「こいつ言うな!つーかいい加減降ろせやー!」

完全に物扱いされているのが腹立たしいらしく、武は声を荒げながら威綱に攻撃を繰り出す。
しかし小さくなっている為、リーチが届かず空振りするばかりである。
そんな可愛らしげな様子に、金次は堪えきれず笑い出した。

「あっははは!なんだ武、すっかり厳つさがなくなったな!」

「笑うなや!てか俺かて好きでこーなったわけやあらへんし!あの桃色女医のせいや!」

「…そろそろ移動しないと、授業に遅れる。行くぞ」

「ってオイ!?降ろさへんのかい!」



完全に無視してそのまま歩き出す威綱。
そんな彼の背後で、相変わらず当たらない攻撃を繰り出す武。

(術を使えばいいんじゃないかなぁ…?)

陰陽科であるのだから、何かしら術でも使えば当たるのではと金次は思うが、それは敢えて言わずにそのまま二人を見守りつつ、彼もまた歩き出すのであった。



*END*


− − − − − − −

武だけがちっこくなりました(`・ω・´)
威綱はちっこいのが武だと知っているので、扱いが雑です。他の子には優しいよ!(ぇ)
金次は普通に子供好きそう。
しかし高い高いとかしたら高すぎて泣かれそう笑
せいぜい肩車止まりだな!


19:59|comment(2)


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