頬を撫でる風が冷たくて、目が覚めた。風は冷たいのに、体の前の部分は温かい。あと、ゆらゆらと体が揺れるのが、心地よい。

「………あれ?」
「あら、起きたのね」

みちるちゃんに顔を覗きこまれて、再度「あれ?」と思う。私、どうしてたんだっけ。
そうだ。怪物が街に現れて。みちるちゃんとはるかくんを送って…
顔を前に向ければ、当然のように、見慣れたはるかくんのブロンドの髪が目の前にあった。

「おんぶされてる!」
「ははっ、最初の反応がそれか?」
「えっ?えっ!?」
「まったく、戻ってきた僕達が、どれだけ驚いたか…」
「名前ってば、あの状況で寝ちゃうなんて、相当な大物よね」

どうやら、私は二人を見送った後、寝てしまったらしい。よくあれだけの恐怖と緊張下で寝られたなあ、私。自分でもびっくりだ。

「えっと、そのー…」
「帰りましょう、名前。私たちの家へ」

みちるちゃんが、微笑む。きっとはるかくんも今、似たような表情をしているんだろう。
ああ、戻ってきてくれた。また、会えた。よかった。

「うん! あっそうだ」
「どうしたんだ?」
「二人とも、おかえりなさい!」
「…ええ、ただいま」
「ただいま、名前」

みちるちゃんに頭を撫でられて。はるかくんにおんぶをされて。
怖さもあった。きっとこれからも、まだある。いつまでも、二人といられないことだって、分かってる。私が望むよりも、それは、早い段階で来るんだろうことも。
でも、今は。今ここにいる私はそれでも、確かにしあわせを感じてる。
さよならの後に

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