プリンセスには程遠い


本当に、3人で行くことになってしまった。赤司、灰崎、私の3人で下校する姿をバスケ部の人たちが二度見してくる。そりゃそうだよ。どう考えてもおかしいもんこのメンツ。どういう組み合わせだ。

「学校からは近いみたいだね。」

「俺、裏道知ってるぜ。」

灰崎はそう得意げに言った。いや、まずこの状況に疑問を持とうよ。てかむしろ楽しんでるでしょ。なんてったって赤司とラーメン屋だよ。コンビニに連れていった私が言うことじゃないけど、赤司をラーメン屋に連れていくんだよ。おかしいよ。
心の中でブツブツと文句を言いつつも、灰崎の案内する裏道を通ったおかげでラーメン屋にはすぐに着いた。

…てかここって。私は、とあることを思い出した。灰崎を見るとニヤリと笑っている。

「おい赤司、先入れよ。」

「?ああ。」

あ、こいつ、確信犯だわ。私は確信した。
赤司は手をかけて、扉を開く。

「すみません、3人で…、」

「らっしゃいませーっ!!」

「「「しゃいませーー!」」」

「3名様入りまーすっ!!」

「「「はい3名様ー!!!」」」

「っ、…!?」

店員さんたちの叫び声に反応したのか、赤司は肩を激しく揺らして、そしてそのまま固まってしまった。
おそらく、こういう掛け声の飛び交う店には慣れていないのだろう。ここは、もちろん味も美味しいが、それ以上に店員の掛け声が大きいことで有名な店だ。
灰崎はお腹を抑えて小刻みに震えていた。かくいう私も笑いそうだ。だって、赤司、固まったまま、動いてない…

「3名様、こちらです!」

そう言って私たちを先導しようとする店員さんの声を聞いて、赤司はぎこちなく歩き始めた。あ、戻った。
私たち3人は店員さんに着いていきテーブル席についた。なんとなく、私は灰崎の隣に座る。赤司は私の向かいに座った。
まだ少し、驚きの余韻が残っているみたいだ。赤司はどこかぼんやりとしている。これはレアだ。レア赤司だ。

やばい、少し楽しくなってきたかもしれない。



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