「いや、なんでもない。」 なにかを言おうとした真ちゃんは、そう言って再び言いよどんだ。 「いやいやいやなんでもあるでしょ!言って真ちゃん超聞くから!!」 ね!?ね!?と真ちゃんを掴み前後に揺さぶる。せっかく理由を言おうとしてたのだ。この機を逃す手はない。 真ちゃんが、分かった言うのだよだから離せ!と言うので私は大人しく手を離した。さあ、言うんだ真ちゃん! 「お前は、」 「うん。」 「…俺のことが、」 「?」 「す…、……好きなのだろう。」 語尾に近づくにつれ声が小さくなっていったが、私の耳は一言一句漏らさず聞き取った。 中指で眼鏡をかけ直す真ちゃんの顔は真っ赤だ。つられて私も真っ赤になる。 ははん、つまりこれはあれか、あれだ、結局あれだろ、 嫉妬じゃねーーーか!! 私はそう心中で叫んだ。さすがに夜中に全力で雄叫ぶわけにはいかないでも叫ばないわけにもいかない。心の中にいる私は全力で壁を殴っている。やばいほんとなんなの真ちゃんほんとなんなの無理可愛い。そろそろ死にそう私。 私は暴れる心臓を落ち着かせるために深呼吸をした。そして聞きたかったことを聞く。 「私が宮地先輩と出かけるのが嫌だったの?」 「……………。」 「無言は肯定とみなすよ真ちゃん。」 「……勝手にしろ。」 今までと違って、表情に出ていなかった理由がわかった。おそらく、私はあまり真ちゃん以外の男の人と出かけないから、宮地先輩と2人っきりでコンサートに行ったことに戸惑ったのだろう。多分。 先程まではあんなにわかりにくい表情だったのに、言って少しふっきれたのか、今はかなり分かりやすい表情になっていた。バレバレだよ真ちゃん。 私は溢れる笑みを抑えきれず、口元に手をやりながら尋ねる。 「つまり嫉妬?」 「………まあ、そう認めてやらんこともない。」 「…はい?」 なんだよこのツンデレ。 あまりの可愛さに、本当に190オーバーの男なのか疑うレベルだ。なにこの人どれだけ私を悶えさせたら気が済むの。 ← → 戻る |