たしかにきこえたその言葉


いや、ほんと、ごめん赤司。

アイス棚の前で顎に手を当て商品を吟味している赤司を見て、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

つい先刻、なにか欲しいものはないかと言われた私はお腹が空いていたのもあり、なにか食べたいと返した。すると赤司は何やらすごく高級そうな店に予約を入れようとしたのだ。私は驚きつつも、コンビニでいいから!と必死で止めた。チラっと携帯画面が見えたがあれは絶対中学生が行くような店ではなかった。中1にして風格ある赤司はともかく私は場違いなこと確実だ。是非とも遠慮させてもらいたい。

というわけで、反省文を書き終えた私と赤司はコンビニに来ている。
それにしても、咄嗟に言ったとはいえ赤司をコンビニに誘ったのは失敗だった。本人曰くこういう所に来るのは初めてらしくキョロキョロと店内を見渡している。そんな赤司を見ていると、こんな庶民が来るような場所に連れてきて本当にごめんなさいという気持ちになった。私の中での赤司のイメージは完璧に貴族だ。うん、やはりコンビニは似合わない。

赤司はコンビニ商品の中でも沢山の種類があるアイスに興味を持ったらしい。先程からずっと何を買うか悩んでいる。
ちなみに私はアイ●の実を買ってもらうことにした。一番好きなのはハー●ンダッツだが、さすがに奢ってもらう立場であれを選ぶ度胸は私にない。赤司から見たら大した金額ではないのだろうけど。

「俺はこれにしよう。」

どうやら選び終えたらしい。赤司が選んだアイスを見て私は思わず噴出した。

「赤司、ちょ、それ…!」

「ガ●ガリ君だ。」

青峰がよく美味いと言っていたから気になってね、と赤司は続ける。しかし私はそれどころではない。

え、は、ちょ、に、似合わねええええ!ガ●ガリ君って!赤司がガ●ガリ君って!!
そう叫びだしたい気持ちを全力で堪える。いや、ほんと、少しでも気を抜いたら笑ってしまいそうだ。だってもう赤司がガ●ガリ君を持っているという絵だけで凄く面白い。
口に手を抑えて震えている私が不思議なのか、どうしたんだと赤司は首を傾げる。私は必死で平静を装って応えた。

「いや…、なんでもないよ。はい、これよろしく。」

「ああ。」

アイ●の実を渡すと赤司はレジへと歩いていった。そして会計を済ませた赤司と一緒に、そのまま私たちはコンビニの外に出る。
コンビニのドアから少し横にそれたところで私はアイ●の実の箱をあけた。赤司もガ●ガリ君の袋をあけて中身を出す。そしてそのまま口に入れて、………駄目だ笑いそうだ。真顔でガリ●リ君にかぶりつく赤司とか面白過ぎるだろ。

「…美味いな。」

赤司はガリ●リ君を口に含んだまま淡々と呟いた。私もアイ●の実を一粒食べる。

うん、美味しい。


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