結局、日曜日にあった誠凛と海常の練習試合に、私は連れていってもらえなかった。 「…真ちゃん。」 「…。」 「昨日は、…楽しかった?」 「…。」 「…。」 「…。」 翌日である今日、私は不機嫌なフリをしながら真ちゃんと一緒に登校している。 なんで不機嫌な「フリ」なのかというと、実は私は、真ちゃんが私を練習試合に連れていきたくない理由を知っているからだ。 私は、バスケが好きだ。 もちろんきっかけはバスケをしている真ちゃんだったが、今では真ちゃん以外の人がバスケをしているのもすごく好きだ。特に黒子や黄瀬などキセキがバスケをしていると、見ていて楽しいしすごく興奮する。 真ちゃんはそれが嫌なのらしい。 中学の時に一度、試合会場で他校の試合を見て興奮していると「…あんまり他の奴の試合で興奮するな。」と言われたことがある。ちなみにあまりの破壊力に私は鼻血を出した。 その時から、真ちゃんは私に他校の試合を見せないようにしている。物凄く可愛い。 ちなみに、このことを昨晩高尾くんにメールしたら「待って真ちゃんww普段は名字ちゃんに冷たいのにwwwツンデレwwwww」と帰ってきた。そうだよ、真ちゃんはツンデレなのだよほんと可愛さやばすぎ天使か。 とはいえ、置いていかれたのはやっぱり少し嫌だったので、私はわざと不機嫌な態度を真ちゃんに見せる。真ちゃんは自分に非があると思っているらしく無言だ。私が黙ると様子を伺うようにこっちを見てきてアカンやばい死にそう。私が。 「おい、」 「…。」 「名字。」 「…。」 「…返事ぐらいするのだよ。」 「……………。」 うわあああああ申し訳なさそうにしてる真ちゃんキュートさ爆裂プライスレス!その顔やばい写メ!写メとりたい!! 叫び出したい気持ちを必死に抑えて、私は全力でムスっとした顔をする。 私が一貫して不思議な態度をするのにはちゃんと理由があった。 「……、真ちゃん。」 「…なんだ。」 「お願いがあるんだけど。」 「!……言ってみろ。」 私は悪い女だから、こういう時の真ちゃんにそう言えば、大抵の頼みを聞いてくれるのを知っている。今の私にはどうしても真ちゃんに叶えて欲しいことがあるのだ。 「二人乗り。」 「…は?」 「二人乗り、したい。」 ← → 戻る |