羽化するときをまっている


今日も今日とて3人でお昼ご飯を食べている。今日の私は2人に聞きたいことがあった。

「ねえ、委員会何入った?」

今朝のホームルームでは委員会決めが行われた。多分ほかのクラスも、同じ時間にしたはずだ。

「俺は保健。真ちゃんはなんも入んなかったよな。」

「練習する時間が減るのだよ。」

「おお。」

確か中学の時も真ちゃんは同じようなことを言っていて、結局一度も委員会に入らなかった気がする。さすが、バスケには人事を尽くしてる。

「名字ちゃんは?」

「風紀!」

「意外だな。」

「なんかかっこよくない?」

そう、漫画とかで出てくる風紀委員だ。一番かっこいい委員は?と聞かれたら私は迷わず風紀委員と答える。昔から憧れていたので、委員会一覧に風紀委員があるのを見つけた私はすぐに立候補した。そして他に立候補者はいなかったので、ついに私は憧れの風紀委員になれたのだ。感無量である。
風紀委員の仕事は主に服装検査らしい。欲を言えば校内パトロールをしたかったのだが、まあ服装検査もかっこいいのでよしとする。早くやってみたい。

「理由が馬鹿っぽいのだよ。いや、実際馬鹿か…。」

「えっ、そんな噛み締めるような言い方しないで泣いちゃう。」

真ちゃんは理解できないというような顔をしてこっちを見てくる。なんでだ!かっこいいだろうが風紀委員!

「あっと、そうだ真ちゃん。俺明日の放課後、委員会の集まりだから先部活行っといてな。」

「あー、風紀は確か今日だったかなー。私がいないからって真ちゃん泣かないでね。」

「ほざけ。」

ウインクをすれば殺気で返される。相変わらず冗談が通じないね真ちゃんったら。そういうところも可愛いんだからほんと真ちゃんは罪深い。

あ、と高尾くんが何かを思い出したらしく口を開いた。

「そういえば名字ちゃん。さっき廊下で宮地さんに会って話したんだけど、」

ここでまさかの宮地先輩。その名前を聞くだけでなんだか微妙な気持ちになる。私がバスケ部に入って結構経つが、相変わらず宮地先輩は厳しいし、むしろその厳しさは日に日に増している。言わずもがな真ちゃんの我が儘のせいである。
目の保養である真ちゃんとたまに声をかけてくれる木村先輩のおかげで、辞めようと思ったことはないがつらいものはつらい。

ぶっちゃけ言おう、宮地先輩のことは苦手だ。


「んで、宮地先輩がどうかしたの。」

「宮地さんも風紀だって。」


持っていた箸が地面に落ちた。

まじでか。



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