正直なんて言葉は知らない


宮地先輩とのみゆみゆトークは体育館に着くまで続いた。それはもう恐ろしいぐらい会話に花が咲いた。

「おい名字、アドレス教えろ。」

「了解です。なんかみゆみゆの新情報入ったら教えてくださいね。」

「そっちもな。」

なんということでしょう。
あれだけ怖いと思って避けていた宮地先輩と、アドレス交換しちゃいました。これぞみゆみゆパワー。みゆみゆ偉大すぎる。

かといって、宮地先輩が怖くなるわけでもなく、その後の練習ではいつも通りたくさん怒鳴られた。まあ宮地先輩はみゆみゆ仲間だからといって私に優しくするような人ではない。
しかし、私の中での宮地先輩への恐怖感はだいぶ和らいでいたので、怒られるのはいつもより苦ではなかった。怒鳴り具合はなにも変わってないけど。きっと受け止める側の気持ちの問題だろう。



「なあ、真ちゃん。あれどー思う。」

「知らん。」

そう言う真ちゃんはすげえ不機嫌そうな顔をしていた。
宮地さんも同じ委員だってことを伝えた時の反応といい、普段の宮地さんに怒られている時の顔といい、名字ちゃんは宮地さんのことが苦手なんだろうなと思っていた。

なのに今はどうだ。名字ちゃんは、さっきドリンクを配ったとき宮地さんに笑顔を見せていた。宮地さんは相変わらずいつも通りの厳しさだけど、ほんの少しだけ名字ちゃんに優しくなっている。ほんの少しだけど。いったい委員会でなにがあった。

そして、真ちゃんは明らかにイラついている。シュートの精度はいつも通りだがフォームがいつもより少し悪い。あと顔が怖い。
これはあれだな、もしかしなくてもあれだな。本人無自覚っぽいけど。

「真ちゃんってほんと素直じゃねえのな。」

「なんの話だ。」

ギロり、と睨み付けられる。おお怖。



「宮地先輩もみゆみゆ好きで、それで意気投合したんだよねー!同士発見って感じ!」

結局、真ちゃんの機嫌の悪さは、帰り道に発せられた名字ちゃんのこの言葉であっという間に治った。単純すぎね?


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