ろくでなしを飲み込めば


いつもの部活中。洗ったタオルを干していると、奥の水道から聞きなれた声が聞こえてきた。真ちゃんと高尾くんだ。2人が水道にいるってことは今は休憩か。
声をかけようと思ったが、なんの会話をしているのか少し気になったので聞き耳をたててみる。ちょうど死角になっており、あちらからこちらは見えないようだ。

「日曜日?オフだし、別に付き合うぜ。」

「じゃあリアカーで行くのだよ。」

「またあれ乗んの!?」

マジでか!と高尾くんが嘆いている。
どうやら何か出かける予定を立てているみたいだ。相変わらず仲いいなこの2人。嫉妬しちゃうぜ私も混ぜろ。

てか、リアカーってあれか。この間、高尾くんの自転車の後ろにリアカーつけてたあれか。それで練習試合に行って相手校に白い目で見られたあれか。それで宮地先輩がブチギレたあれか。
ちなみに私はリアカーには乗らずに、自分の自転車に乗って併走したが、周りの目が恥ずかしかった。気にせずあれに乗れる真ちゃんはさすがだと思った。

隠れて聞いていたが、高尾くんは私の存在に気づいたらしく「お、名字ちゃんじゃん。」と手を振ってきた。バレては仕方が無い、と私も手を振り返して、二人の元へ行く。
真ちゃんは私を見るとチッと舌打ちした。酷くね?

「聞いていたのか。」

「まーね。日曜どっか行くの?」

「…お前には関係ない。」

「高尾くん、tell me。」

「真ちゃんが海常と誠凛の練習試合見たいらしいから、しゃーなし付き添い。」

「おい高尾。」

「え!?海常と誠凛って…黄瀬と黒子いんじゃん!」

中学のチームメイトの顔が思い浮かぶ。途中で部活がおかしくなり、部員とは疎遠になったが、それでもレギュラーがどこの高校に進学したのかぐらいは把握している。
それにしても、練習試合ってことは黒子、バスケに戻ってきたんだ。何だか嬉しい。帝光中では嫌なこともあったけど、それでもやっぱり楽しいこともたくさんあった。とても懐かしい思い出だ。
うん、黄瀬と黒子、久々に会ってみたい。

「今週の日曜なら空いてるよ!私も行く!」

黄瀬と黒子に会える。2人がバスケしているのを見ることができる。オフも真ちゃんと一緒に過ごせる。行かない理由なんてない。なのに、

「いや、お前は来るな、絶対に。」

「へ?」

「絶対だ。」

なんで。


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