青春はまってくれない


「体育大会の種目決めをするので、男女別に集まってください」

体育委員の子の声に合わせて、みんな席を立ちぞろぞろと移動し始める。今年もこの時期が来た。私も女子が集まっている輪へと向かう。

体育大会か。去年は玉入れに出て、そして何故かリレーに出るはめになったな。主に赤司の圧力のせいで。懐かしい。

「借り物競争に出たい人いるー?」

体育委員のその声でふと思った。
このクラスは運動部の女子が多く、リレー希望者がたくさんいるようだ。借り物競争は人気がないらしく、周りに手を挙げている人はいない。

…出てみる?

「はい」

「あ、ほかにはいない?」

手を挙げてみたがやはり他に出たい人はいないらしく、借り物競争に出る人はすんなりと私に決まった。じゃあ借り物競争は名字さんで、と言い体育委員が黒板に私の名前を書き込む。去年は紙に自分で書いたけど、このクラスは体育委員の子が黒板に名前を書くんだな。誰が何に出るかわかりやすし良い感じだ。

学年競技は四人一組の大玉ころがしで、班は身長順にあとから決めるらしい。私が決めることは終わったなと思い、輪から少し離れる。黒板を見れば男子の種目のところにもいくつか名前が書かれていた。

団対抗リレーのところには黄瀬の名前が書かれていた。しかもアンカーとして出るようだ。あと騎馬戦にも上に乗る役で出ると書かれていて。え、絶対かっこいいじゃんそんなの。騎馬戦の上の役もリレーのアンカーもまさしく花形って感じだし。うん、何がなんでも見たい。表立ってキャーキャー言うのは恥ずかしいからこっそりと応援しよう。なんかミーハーだな私。

そして同じクラスのバスケ部と言えば、黄瀬の他に紫原がいる。紫原の名前を探してみればパン食い競走のところに書かれていた。なにそれやばい身長の面でも食欲の面でも無敵じゃん。チートかよ。




「ねえねえ!知ってる?赤司くんパン食い競走に出るんだって!」

部活前にさつきちゃんと会い、一緒に体育館へ向かう最中にそんなことを聞いて思わず転びそうになった。なんだそのとんでもないニュースは。

「…ほんとに?」

「クラスの子が噂してたの」

他クラスにまで出場種目の話が回ってるとはやはり恐るべし赤司。パン食い競走で紫原に勝てる人いねえだろ思ったけどいたわ。

「うちのクラスからは紫原が出るよ」

「…なんだかすごい戦いになりそうだね」

「同感」

パン食い競走なんて正直身長勝負だと思う。普通に考えれば紫原が圧倒的に有利だ。でも赤司なら身長とかそんなハンデなんて乗り越えて勝ちそう。

「確か名前ちゃんのクラスと赤司くんのクラスって同じ団だよね」

「そうなの? それならうちの団はパン食い競走では無敵じゃん」

「でもほかの種目ではうちだって負けないよー!」

グッと拳を握ってそう言うさつきちゃんが今日も可愛い。そっか、今年はさつきちゃんと別の団なのか…。去年は同じ団で一緒に体育大会を見たけど今年は別なのかと思うと少し寂しい。

「さつきちゃんはなにに出るの?」

「私は玉入れに出るよ、名前ちゃんは?」

「借り物競争」

「そうなんだ!」

大切な友達、とか出てきたらさつきちゃんを連れていこうかな。


そのあと部活に行ったら、赤司がパン食い競走に出るという話題で持ち切りだった。そりゃそうだ。


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