きらきらと色めきかがやく


「名字」

「はい」

部活が終わり、体育倉庫で備品の在庫確認をしていたら後ろから声をかけられた。そこにいたのは虹村先輩だ。

「頼みたいことあんだけどよ、良いか?」

「大丈夫ですよ」

頼み事、一体なんだろう。

「黄瀬ってやつわかる?」



虹村先輩に言われた黄瀬という人は、どうやら同じクラスにいる黄瀬涼太のことらしい。接点は一切ないが、顔が綺麗で女子からモテることと、あとモデルをしているということは知っていた。席が近いわけではないから話したことは無い。けど遠目で姿を見ているとかっこいいとは思う。
そんな黄瀬涼太だが、つい最近バスケ部に入ったらしい。知らなかった。そして入部してからたった2週間で一軍に上がって来るというのだ。顔だけじゃなくて運動もできるのか。すごいな黄瀬涼太。

虹村先輩からの頼み事というのは、今日から一軍にあがる黄瀬涼太を、放課後に体育館まで連れてきてほしいとのことだった。こういう仕事は私よりさつきちゃんの方が向いているとは思うけど、まあ同じクラスの人がやった方が効率は良い。

「ねえ」

「ん?」

ちなみに黄瀬涼太に話しかけるのはこれが初めてだ。席に着いている黄瀬涼太に声をかければ、振り返ってこっちを見られる。うわ、やっぱこの人顔綺麗だな。

「私、バスケ部の一軍マネージャーの名字って言うんだけど、キャプテンにあなたの案内をするように言われてるの」

「ああ、そうなんすね」

よろしくっす! と笑顔で言われて思わずときめく。イケメンは赤司で見慣れたと思っていたけどそんなことは無かった。黄瀬かっこいい。かなりタイプの顔かもしれない。

そこから体育館まで、一軍について簡単な話をしながら黄瀬と一緒に歩いた。初対面の人と話すのに慣れているのか、黄瀬とは案外話が続いた。人当たりが良いなあ。この時点で黄瀬への好感度はかなり高かった。私、意外と面食いなのだろうか。

「なんでこの時期にバスケ部に入ろうと思ったの?」

「憧れてる人がいるんすよ!」

キラキラとした目でそう言う黄瀬は、輝いて見えた。



そのあと、教育係である黒子に黄瀬を引き渡し通常の業務へと戻った。黄瀬が黒子に対して文句を言ってるのが聞こえたが、まあ確かに気持ちは分かる。黒子と一緒に試合をしたり同行した人は黒子を褒めるけど未だに私は黒子のすごい所を見れていない。あの灰崎も認めてるぐらいだし、一回見てみたいな。


なんて思っていた矢先。

「来週ね、二軍の試合に黒子くんと黄瀬くんと同行することになったの」

「え! いいなあさつきちゃん」

さつきちゃんにそう言われて、素でそう答えてしまった。
今は部活終わりの帰り道。私はさつきちゃんと二人で下校をしていた。さつきちゃんとは途中まで道が一緒であり、普段はほかの部員もいるが今日はマネージャー業が遅くなってしまったため二人っきりだ。

「やっぱり、名前ちゃんも試合中の黒子くんを見てみたいって思うの?」

「思う」

素直にそう頷く。一軍の練習で見てる限り、黒子の凄いところはわからない。けど試合に出ているところを見ればわかるらしい。
おそらく黒子と黄瀬を一緒に試合に出させることで、黄瀬に黒子の凄さを分からせようってことなんだろう。赤司あたりが考えそうなことだな。

「羨ましいな、私も行きたかった」

さつきちゃんの口ぶり的に、私はその試合に同行しないのだろう。もちろん黒子もだが、私は試合をする黄瀬を見たいと思っていた。

黄瀬が一軍に来てから、特に話したり関わったりすることはなかった。初日に体育館まで案内をしたっきりだ。
しかし練習風景を見ることは出来る。ほかの選手と比べてぎこちはないものの、黄瀬の運動神経はとても良いようだ。練習にしっかりついていってて尊敬する。あとかっこいい。やっぱり顔が良い。

「試合をする黄瀬、見たかったなあ」

「あれ? 黄瀬くん目当てなの?」

「黄瀬ってかっこよくない?」

「名前ちゃんがそんなこと言うなんて意外だね」

「黄瀬の顔がすごく好きなの」

「えー! 良いね!」

私もそんなふうに思える人がほしいなあ!とキャッキャするさつきちゃんはべらぼうに可愛い。

「さつきちゃんは黄瀬のことかっこいいって思わない?」

「うーん、かっこいいとは思うけど、私はもっとこう、ギャップのある人が好きかな!」

「あー良いね」

「赤司くんのことはどう思う?」

「イケメンだし綺麗な顔してるよね」

「わかるわかる、綺麗だよね!」

「てかバスケ部って顔が綺麗な人多くない?」

そこからバスケ部でどの人がかっこいいかという話になった。恋バナ? なのかどうかはわからないけどたまにはこう言う話も楽しいな。



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