指先がほしがるもの


あれから、私と真ちゃんに高尾くんを加えた3人で昼ごはんを食べるのが、定番になった。
高尾くんはコミュニケーション能力が高く、無愛想が服を着ているような真ちゃんとも仲良くやっているようだ。もちろん、私もすぐに高尾くんと仲良くなった。
今日も一緒に昼ごはんを食べている。

「てかよー、名字ちゃん毎日ここに来てるけど、自分のクラスに友達いねえの?」

「ぶっ…!」

高尾くんの突然の発言に、思いっきりむせてしまった。なっ…!失礼なやつだな!

「いるよ!友達ぐらい超いるから!」

もちろんクラスに友達はいる。ただ、友達に真ちゃんへの思いを語った結果「そんなに好きなのに違うクラスって辛いよね…せめてお昼ご飯だけでも一緒に食べなよ。わたし達のことはいいからさ!」と同情されつつ応援されたのだ。
確実に勘違いされている。すごく切ない片思いだと思われている。真ちゃんは存在するだけでわたしの人生を幸せにしてくれるから、片思いは正しいくても切ないは間違いだ。切ないどころか毎日幸せだ。

「自分のクラスに友達ぐらい作るのだよ。」

「真ちゃんに言われたくねーし!真ちゃんだって高尾くんいなきゃ一人じゃん!」

「別に構わん。」

「まー、俺は真ちゃんの親友だし?」

「ありえんのだよ。」

真顔でそう言う真ちゃんに思わず笑ってしまう。高尾くんはひでえ!と言って机に突っ伏した。それを見て余計に笑いがこみあげる。真ちゃんも鼻で笑っていた。
高尾くんがムスっとした顔で起き上がって呟く。

「あーあ。まさか俺まで真ちゃんに片思いとは。」

「仲間だね。」

ぐっと親指を突き出せば高尾くんも同じことをして返してくれる。相変わらずノリが最高にいい。

…ん?てか、高尾くんって真ちゃんのこと真ちゃんって呼んでたっけ。確か緑間呼びだった気がする。

「高尾、お前までその間抜けな呼び方をするのはやめろ。」

「…まぬけ!?どこが!?めちゃくちゃ可愛いくて最高の呼び方じゃん!可愛いじゃん真ちゃん!」

「そうだぜ真ちゃん!いい呼び方じゃん真ちゃん!」

「うるさい。」

高尾くんが真ちゃんに、私にしたのと同じように親指を突き出したが思いっきり叩かれている。

クラスの誰かが、今日もあの3人は賑やかだねえと呟いた。



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