微笑みがあらわす哀憐


放課後、さつきちゃんと合流して1軍の体育館へと向かう。

「なんで急に1軍なんだろうね?」

「さ、さあ、なんでだろうね…。」

ごめんねさつきちゃん私のせいだよごめんね。いや、赤司のせいか。

体育館に着き、ジャージに着替える。1軍のマネージャーは私たち以外みんな3年生だった。挨拶をすると笑顔で返してくれる。よかった、いい人たちだ。
新しく加わるということで、部活が始まる前のミーティングで自己紹介をする。そして、それから練習だ。
1軍の練習はすごかった。3軍でもなかなかすごいと思っていたが、その比ではない。
マネージャーの仕事は3軍と変わらず、むしろ1軍は3軍より選手の人数が少ないので、マネージャー業は1軍の方が少し楽だ。なので選手の練習する様子を見る暇も、短い時間だがあった。

なんというか、カラフルだ。髪の毛が。
赤司も含め髪の毛がカラフルな4人は全員1年で、身体能力がすごく高く期待の成長株らしい。4月なのに1軍にいるということからも、そのすごさが分かる。

笛の音が鳴り休憩に入った。私達マネージャーは急いで、選手にドリンクとタオルを配る。
最後のタオルを赤司に渡すと、話しかけられた。

「1軍はどうだい?」

「3軍より楽。」

「ならよかった。」

「てか、どうやって私らを1軍に入れたの?」

「ああ、そのことなら気にしなくていい。だいぶ払ったが。」

「払った!?」

「冗談だよ。」

相変わらず分かりにくい冗談だ。てっきり裏金的なあれかと思った。
赤司、その冗談は金持ちが言ったらダメなやつだよリアリティ半端ないから。

赤司は、主将に用があるから、と言って先輩たちの方へと歩いていった。
ふと、さつきちゃんの方を見ると、髪の青いガングロくんと楽しそうに話している。仲がいいのだろうか。
ガングロくんと話し終わったらしいさつきちゃんはこっちに来て、私に耳打ちをした。

「ねえねえ、名前ちゃんって赤司くんと仲いいよね。」

「…小学校が一緒なんだよ。」

私と赤司の詳しい関係は、さすがにさつきちゃんには説明できない。説明したら、私の短気がバレるからだ。

「さつきちゃんは、あの、青髪の人と仲いいよね。」

「あっ、大ちゃん?大ちゃんはね、幼なじみなんだ。」

青髪のガングロくんは大ちゃんと言うらしい。出来れば名字が知りたかったが、まああとで赤司に聞いたらいいか。
それにしても幼なじみか。どうりであんなに楽しそうに話せるわけだ。私には幼なじみがいないから、かなり羨ましい。

「さっき練習中ダンクしてたよね、かっこよかったって言っといて。」

「えっ、ダメだよ名前ちゃん!そんなこと言ったらあいつ調子乗るから!」

「かっこよかったのは事実だからいいじゃん。」

「もう!ダメだって!」

頬を膨らましてそう言うさつきちゃんは本当に可愛い。こんな可愛い子と幼なじみなんて、大ちゃんくんは幸せ者だな。私なら昇天する。

すると笛が鳴り、練習が再開された。
先輩マネージャーと一緒にドリンクを作りながら、横目で練習を見る。赤司が目に入った。
普段はすました様子の赤司しか知らないので、こうやって汗をかいている姿をみるのは新鮮だ。きっと今の赤司の姿を見れば、赤司ファンはかなり増えるだろう。美形が真剣にスポーツをしている姿は、それだけで人を魅了できる。

赤司、格好いい。

素直にそう思った。大ちゃんくんみたいに、本人には絶対知らせたくないけど。


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