その瞳は翳りを知らない


ありえない。とりあえずこれが初日の感想だった。

部活を終え家に帰り、ご飯を食べお風呂に入る。そしてベットに寝転がり今日あったことを思い出す。

1年のマネージャーは全員、3軍担当だった。肝心の誘ってきた赤司本人は1軍。この時点で騙された感が半端なかった。というか、まず3軍まであることがすごい。
帝光中学校のバスケ部はかなり強豪らしく、練習はキツそうだった。そしてマネージャーの仕事もキツかった。
そして精神的にもキツかった。やはり運動部なだけあって、体育会系の先輩やらがたくさんいた。
マネージャー初心者である私は、先輩に注意されたり嫌味を言われる。何度も殴ろうかと思った。
それでも手を出さずに済んだのは赤司の力だ。

それは、嫌々ながらも部活に行く途中で赤司が言った一言。

「誰かに少しでも手を出したら、退学だ。」

退学。退部じゃなくて退学。

その言葉の威力に思わず固まると、冗談だよと言われた。
いや、冗談じゃないでしょ、目がマジだったでしょ。本気だったでしょ。
どんな権力があるのかはともかく、赤司の家が金持ちなのは事実だ。私を退学にするのも決して不可能ではないだろう。怖い。赤司怖い。

だけどいいこともあった。なんと女の子の友達ができた。同じくマネージャーの子で、名前はさつきちゃん。とにかく可愛い。素直であと頭もいい。そのうえ可愛い。とにかく可愛い。
私立の進学校なだけあって、帝光中学校には賢い人は多い。つまり話していても苛々することがなく、普通に話すことが出来るのだ。一人が好きとはいえ、久しぶりの会話はかなり楽しかった。明日からはクラスの子で、賢そうな人に自分から話しかけてみようかな。

そんなことを考えていると携帯がなった。これは中学に入るに当たって、帝光中学は携帯の持ち込みが許可されていると知った親が、買い与えてくれたものだ。
今日、アドレスを交換したしさつきちゃんかな。そう思ってメールを開く。

「…………なんで。」

メールは登録していないアドレスから送られていた。内容は「乱闘騒ぎを起こしていなくてなによりだ」というもの。

考えるまでもない、絶対赤司だ。

え、私赤司にアドレス教えたっけ。
とりあえず「なんでアドレス知ってるの?」と送れば「ついでに登録頼むよ。」と返ってきた。いや、だから、入手経路を教えろっての。
とりあえずアドレスの登録はしておく。

『登録したよ。』

『短気は少し治ったみたいだね。』

『治ってないよ。何度も殴りそうになった。』

『殴ったら退学。』

『…それって冗談じゃないの。』

『さあ、どうだろうね。』

「………………。」

薄々感じていたが、赤司はなかなかの性格をしている。


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