馬鹿だと笑ってくれて結構


無事にテストは終わり、一応全教科返ってきた。分からないところを赤司に教えてもらったおかげで思っていたよりもかなり点数が良かった。ちなみに赤司は全て満点だった。化物か。
赤司には勝てなかったけど、おそらく緑間には勝てているだろう。そう確信できるぐらいにはいい点数だった。勝負自体は不本意なものだったけど馬鹿にされた分勝ちたいという気持ちもある。

そして今日は、テストの順位が掲示板に張り出される日だ。緊張しつつも掲示場所に向かえばそこには随分人だかりが出来ていた。人が多くて掲示板までは距離がありよく見えない。人が減るまで少し待つか。

そう思っていると、人ごみの中から一際大きな男が出てきた。

「あ、緑間。」

その大きな男はいつも通りの仏頂面をした緑間だった。その顔をじっと見ればあちらもこっちを見てきて、目が合った。その瞬間、緑間はフッと笑顔になる。…は?
そのまま緑間は私の方へと歩いてやってきた。

「なんなのその顔。」

「俺の勝ちだ。」

「…まじか。」

緑間は得意げに鼻を鳴らした。え、ええー、先に言っちゃうパターンかよ。しかも負けたとか。

「…ちなみに緑間何位だった?」

「2位だ。」

「…やばいね。赤司に並んでんじゃん。」

「ああ。次は赤司にも負けんのだよ。」

緑間はくいっと眼鏡をあげた。はいドヤ顔頂きましたー。
それにしても緑間は2位か。やっぱ頭いいんだな、眼鏡だし。勝負には負けたけど、何も賭けをしていなかった分ラッキーだとポジティブに考えることにする。

そうこうしていると人だかりが少しすいてきた。緑間に、じゃあまた部活で、と無難なことを言い掲示板の方へ向かう。ちなみに緑間はうんともすんとも返事せずそのまま去っていった。返事ぐらいしろ眼鏡。

人が少なくなったとはいえまだ結構な人がいて、人ごみをかき分け私はなんとか掲示板の前までたどり着いた。そのまま見上げて自分の名前を探す。緑間に負けたとはいえ、そこそこいい順位をとれたとは思うんだけど…


1位赤司征十郎
2位緑間真太郎
:
:
:
6位紫原敦
6位名字名前








「赤司、これ。」

掲示による順位発表の翌日の放課後。部活へ行く準備をしている赤司の目の前に立って、私はあるものを差し出した。
それに対して赤司はきょとんといった顔をしているし、周りは相変わらずザワついた。もう周りの反応も慣れたものだ。どうとでも思ってくれ私と赤司は普通に友達なんだから。

「…これは?」

「勉強教えてくれたお礼。」

ああ、といった表情で赤司は私が差し出しているコンビニの袋を受け取った。
望んだ勉強会ではないとはいえ、赤司には分からない問題を何問も解説してもらったのでなにかお礼をしようと思いたった。ちなみに袋の中身はまいう棒10本である。中学生の財布事情的を考慮した結果だ。

「しかし、この菓子を見ると紫原を思い出すね。」

「それ狙って買った。てか紫原って賢いんだね。」

紫原が同じ順位なのを見た時は本当に驚いた。
そしてその驚きに関連してなんとなくまいう棒にしてみた。

「あと、せっかく勉強教えてもらったのに緑間に負けた。ごめん。」

「気にしなくていいよ。名字も十分上位だ。」

「それ、赤司が言ったら嫌味に聞こえる。」

「…他意はない。」

「冗談だよ。」

笑いながらそう言えば、赤司は少しだけ眉間にしわを寄せた。
それを見て、こいつもだいぶと色々な表情をするようになったなとどこか頭の片隅で思う。それだけ私に心を開いている、とかだったら嬉しいんだけど。


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