俺は小学校6年の時に転校をした。 新しい学校にも慣れ、しばらくした時、同じクラスの男たちに呼び出された。 赤司家の者として、もめごとを起こすわけにはいかない。暴力など論外だし、相手の様子からして言葉で解決するのは難しそうだ。 さて、どうするか。そう考えていた時だった。 「ねえ、どいてよ。」 声がして振り向くと、同じクラスの名字だった。いつも本を読んでいて、話したことはない。大人しそうな感じだが、どいてと堂々という当たり意外と度胸があるのだろうか。 すると名字はいきなり目の前の男を殴った。さすがにこれには驚いた。 「助かったよ。ありがとう。」 礼をいうと名字は少し面食らったような顔をしていた。そしてお互い、何事もなかったかのように別々に帰る。 とりあえず中学では男ともうまくやる必要があるな、むかえに来た車の中でそう思った。 その後、別に名字と仲良くはならなかった。いつも通りに彼女は一人本を読んでいて、昨日人を殴っていた女子とは別の人物のように見える。 昨日のことについて訪ねたいが、話す機会がなかった。知りたいのに。 結局、卒業するまで俺と彼女は話すことはなかった。 しかし俺たちは1ヶ月後、中学で再会することとなる。 ← → 戻る |