テスト一週間前である今日。最後の授業も終わり、私は早く家に帰って勉強しようと思い席を立った。 が、何故か今、目の前には赤司がいる。え、なんなの。 「名字、」 「なに。」 「勉強会をしよう。」 その言葉に、私は思わず、はい?と聞き返した。 あまりの突拍子のなさに新手の冗談かなとも思ったが、私を見つめる赤司の目は至って真剣だった。 周囲にいる子たちが一瞬ざわついてこちらを見てくる。うわ、ほら、またこういう反応だよ。もうだからせめて教室で言うのをやめてくれ 「…そんなことしなくても、赤司賢いじゃん。」 ふと口をついたのはその言葉だった。入学式で新入生代表として挨拶をしていたから、赤司はいわゆる首席というやつだ。勉強会なんてしなくても勉強出来るだろお前。 「ああ。」 「あ、そこは認めるんだ。」 「まあね。」 「じゃあなんで勉強会なんて、」 「テスト前の勉強は、友人とするものだろう。」 その言葉を聞いて、私は心の中で頭を抱えた。どこで仕入れたんだよその情報。 そうは思いつつも、強い意志をした目をする赤司に反論出来るわけもなく。 いいよ、とだけ返して私は自分の席についた。赤司は、前の席の子に借してもらうよと言って、その子の机を私の机の前にくっつける。 周りの子たちは、チラチラとこちらを見ながらも教室を後にし始めた。これはまた、付き合ってる云々勘違いされたな。当の赤司は気づいていないのかわざと無視しているのか、全く気にしていないようだけど。もういいや、どうにでもなれ。 一度しまった教科書を再びカバンから出す。分からないことがあったら聞いてくれ、と赤司が目の前で言ったので適当に返しておいた。 ぶっちゃけもう、赤司と仲の良い友達でやっていくのも悪くないなと思いいつつある。女子からの呼び出しは、まあ、呼び出された時においおい対処するとして、赤司自身とても大人びていて話していて楽と感じることが、実際多い。 うん、これからは友達としてやっていこう。色々と疲れてきた私は、もう開き直ることにした。 「なあ、名字。」 「今度はなに。」 「勝負をしよう。」 「…何で?」 「テストの順位。」 「嫌。」 「即答だね。」 そう言って赤司はクスリと笑った。今日の赤司は一体なんなんだ。色々とおかしい。 ← → 戻る |