第十話「奥さんの不満」


「ちぇんちぇー!

さっきの子は誰なの?

浮気は許しませんよー。

未来もちゃんと見ていないと!」

ピノコはソフトクリームを食べながら

そう聞いた。

ハンバーガーを食べれなかったピノコに

ブラックジャックはソフトクリームを

買ってあげたのだ。

「あ、あの子はな…」

「大丈夫よ、ピノコちゃん。

浮気なんかじゃないから」

困ってしまったブラックジャックに

未来が助け舟を出した。

「うーん…未来がそう言うなら大丈夫ね」

そう言ってソフトクリームを食べ終わったピノコは

笑顔に戻った。


「じゃあ今度はスイスに行くの?」

「ああ、そうだな」

「大移動だね」

そう三人が話していると

「失礼ですがブラックジャック先生ですね?」

腰が低そうな中年男性が話しかけてきた。

どうやらクロイツェル中央病院の副理事が

ブラックジャックに会いたいようだ。

「何か聞けるかもしれないね」

そう言った未来達はもう一度

クロイツェル中央病院へ向かった。

「副理事に会うのは私だけでいいだろう。

ピノコと未来はここで待っていてくれ」

病院のロビーでそうブラックジャックは言い

「えー」

「いつもそうなのよさ」

二人の奥さんは不満そうだった。

でも結局ブラックジャックは一人で

副理事に会いに行ってしまった。

「もうちぇんちぇーったら…」

「でもそんな黒男さんも

ピノコちゃんは好きなんでしょう?」

「え?どうちてわかったの?」

ピノコの顔には図星と書いてあるようだった。

「私もそうだからよ」

そんなピノコの頭を

未来は優しく撫でてあげた。


to be continued