プロローグ


ブラックジャックと未来が結婚して

もうすぐ一年が経とうとしていた。

ブラックジャックは今日も大きな病院で手術を行い

車で帰宅した。

帰る足取りは軽い。

「ただいま」

くたくたのはずなのに

自宅のドアを開けたブラックジャックは笑顔だった。

「おかえりなさい、黒男さん」

「ちぇんちぇー!」

そんなブラックジャックに

二人の奥さんも笑顔で迎えた。

「ただいま、ピノコ、未来」

幸せそうにブラックジャックは微笑んだ。

ブラックジャックと未来は戸籍上の夫婦。

だがピノコもブラックジャックを深く愛している

奥さんだった。

一見不思議な関係だが三人は幸せな毎日を

過ごしていた。


「なあ…未来」

「ん?」

「もし私が死んでしまったらどうする?」

その日の夜、ベッドに入ったブラックジャックは

未来に改まって聞いた。

「え?」

未来の胸はドキッと驚いて

一瞬で不安な気持ちになった。

愛する夫が死んだら

悲しくない妻などいないだろう。

「いきなりどうしたの?」

未来の質問は当たり前だった。

ブラックジャックの質問は

あまりにも突拍子がなかった。

毎日幸せが続いていたから

猶更別世界の話に未来は感じた。

「もしもの話だよ。

例えば私が命を狙われてしまったら

一緒に逃げてくれるかい?」

未来の瞳を見ながらブラックジャックは

そう聞いた。

「当たり前だよ。

黒男さんと一緒だったら

地の果てでも地獄でも行くよ。

だから私を一人にしないで」

言いながら未来は悲しい気持ちになり

「変なことを聞いて悪かった」

未来の表情で気持ちを悟ったブラックジャックは

未来を抱きしめた。

「黒男さん…」

「愛している、未来」

ブラックジャックは未来にキスをした。

しかし翌日から大きな事件が始まるとは

抱きあった二人も隣の部屋で寝るピノコも

知らなかった。


to be continued