■第四話「最初のエクステンション」
もうすぐ定時だな…
私は仕事をしながらそう思った。
定時になればセイに会える。
「未来さん、なんだか楽しそうだね」
「え?」
私は気になっている同僚にそう声をかけられた。
ドキッと胸の鼓動が高鳴る。
「笑顔になっていたから…」
「そ、そうかな?」
私は誤魔化そうとした。
(私が笑顔なのは彼を想う時が多かった。
でも今はセイのことを考えていたな…)
その小さな変化に私は深く考えなかった。
帰宅してすぐに私はセイに触れた。
「情報がたまりました。
エクステンションを実行してください」
「わかった」
私は迷わずエクステンションのボタンを押す。
「エクステンションが完了致しました」
まだ固い声でセイはそう教えた。
「どう?
何か変わった?」
「はい。
どのような言葉選びが適切か
理解が深まったように思われます」
「そっか…」
出逢った頃のように笑ってくれるのは
まだ時間がかかりそうだなと私は思った。
to be continued
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