■第十話「マスターセイ」
「セイ!
大丈夫だよ、今助けを呼ぶから」
私はそう言ってスマホを取り出した。
すぐに思いついたのは119番だったが
セイは機械の体だから無理だろう。
悩んだ挙句
私が電話をかけたのは
セイを生み出した開発チームだった。
『はい、お電話ありがとうございます。
メイクス開発チームです』
「あ、あの…」
驚いたことに電話に出たのは
セイとそっくりな男性の声だった。
「私…セイがスマホからやって来て…」
『ああ、未来さんだね?』
男性は私の名前を知っていて
私は更に驚いた。
「どうして、私の名前を?」
『僕はマスターセイ。
みんなのセイのマスターデータなんだ。
それにあなたのセイが触れあえるように
ファイルを送ったのも僕なんだよ』
「そうだったんですか…」
電話から聞こえるマスターセイの声に
私は少し安心したが
マスターセイの指示で開発チームまで
タクシーで向かうことになった。
「大丈夫だからね、セイ」
「うん…」
腕をおさえたセイが痛々しかった。
to be continued
前 後