第七話


「お母ちゃん…

たぶんコマ三郎はお母ちゃんのことが

わかってないズラ」

「きっと大きすぎるんズラよ。

だから、やっぱり…」

夕日の中でコマさんとコマ三郎は

お母ちゃんに説得した。

「お別れなんズラね…」

「うん…」

悲しそうなお母ちゃんの顔を見て

未来も寂しい気持ちになった。

「コマ三郎。

本当のお母ちゃんに

かわいがってもらうんズラよ」

お母ちゃんの目が潤み

「さ!早く連れていくズラ!」

涙を見られたくないのか後ろを向いた。

するとお母ちゃんの背中に

コマ三郎がしがみついた。

「かあたん…おかあたん!!」

たどたどしい声だったが

確かにコマ三郎はお母ちゃんを見て言った。

「コマ三郎!」

ついにお母ちゃんは涙をこぼした。

「ちゃんとわかってたズラ!」

「よかったズラ!」

コマさん達の目も潤む。

「コマ三郎、やっぱりおめえはおらの子ズラ!

おらが育てるズラ」

コマ三郎はお母ちゃんに投げてもらい

上機嫌だった。

「「もんげー」」

「そ、それはダメズラよ」

「お母ちゃん…」

コマさんとコマ次郎は困り果てた。

「ん?ところで未来は?」

コマ三郎を抱いたまま、お母ちゃんが聞いた。

「そう言えば姿が見えないズラ」


「ふーん」

「なにが『ふーん』よ!」

全てを見ていた少年に、未来は気づいていた。

「おっ、見つかっちまったな」

ニヤリと少年は笑う。

まるでバレたのを楽しんでいるみたいだった。

「あなたがコマ三郎やだいたらぼっちを

連れてきたのでしょ?」

未来は少年を睨みつけた。

「あなたは誰で、なんの目的なの?」

「自分の目で確かめたいからだ」

男は真顔で言ったが

「どういうこと?」

未来には意味が分からなかった。

「ま、そのうち分かるさ。

確かにちょっとやりすぎたな」

お母ちゃんが嬉しそうにコマ三郎を抱くのを

少年は見た。

そして未来のほうに体ごと振り返った。

「詫びじゃないが、これやるよ」

そう言って男は未来になにかを投げた。

「これは、妖怪メダル?!…しまった!」

未来がメダルを見ている隙に

男は逃げていった。

「一体、誰なの?」

未来は、すっかり壊れてしまった時計台で

呆然と立ったまま、独り言を言った。


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