01





半田は私の急な誘いにも快く付き合ってくれて、凄くうれしかった、楽しかった。


ホントはこの日に私の想いを伝えようと思ってた。でも私ったら全然勇気がでなくて……凄くダメダメだ。自分が情けなくなって少し落ち込んだ。

次こそは、勇気を振り絞って想いを伝える。そう強く決めた。





そして今日は、サッカー部を見に行く日。お昼ごろに合わせて、沢山の種類が入ったアイスを持って学校へ向かった。

久しぶりに秋ちゃん達と、それから半田に会えるという事で気分は上々!すっごい楽しみだった


でも半田は私と目が合ってもすぐ逸らす。なんで──。
きっと半田は疲れてるんだ、そう自分に思いこませた。



それでもやっぱり気になった私は帰りには半田に話しを聞こう、一緒に帰ろうと声をかけるつもりだった。

「花子、」

それは風丸によって拒まれてしまったけど。
どうしたの?と返すと少し困ったような、照れているような表情をして


「一緒に、帰らないか?」


そう言った。でも私は半田に……そう思い半田を見てみるとばちり、と目があった。でもそれは先程のようにフイッとすぐ逸らされてしまった。なんで……?思わず「は、半田……」と声を漏らす。

それも無視して半田は行ってしまった。なんで、どうしてなの……。なんで何も言ってくれないの。

風丸にゴメン、と一言いうと半田を追うように走った。


「半田……っ!」


やっと追いつき腕を掴む。それすら無視をされてしまう。


「ねえ、半田ってば!なんで無視するの……?」

「…………。」


半田は答えてくれない。だんだん目頭に熱が集まり、鼻の奥がツンとなるのが分かった

彼の前に出て相手の顔をキッと睨みつける。

「ねえってば!!」



「……なんだよ。」


すごく冷たい目で睨み返されドスのきいた声を発した。
こわい。こんな半田は見たことがなかった。つい先日までは楽しく話してたのに、なんで、なんでなの、わからないよ……!


キュッとしまる喉から押し出すように声をだした

「な、んで……無視するの……?」

「どうだっていいだろ?それより早く風丸のとこに帰れよ。」

「どうしてそこに風丸がでてくるの?今話してるのは半田──」
「うるさいな!もういいだろ?!俺に話しかけるなよ!!もう俺に関わるな!!!」


ドン、と押され体がよろける。


話しかけるな、関わるなと言われてしまった。訳がわからなかった。なぜそんな事を言うのか。もしかしたら知らないうち半田の気に障ることをしてしまったのだろうか。自分の顔がぐにゃりと歪む。

「待って、待って半田ああっ!!」

納得がいかない、もう一度話そうと追いかけようとした途端、派手にズッこけてしまった。膝を擦りむき血が出ていた。

痛い、痛い、痛いよ……。


「半田ぁ、いやだ、やだよ、待ってよぉっ……!!いやだああぁぁっ!!」


校門の前で一人泣き叫ぶ。それでも彼は行ってしまった。嫌われてしまった。もう彼は私を見てはくれない。


膝の痛みよりも、心の方が何倍もいたかった。辛い。


泣きじゃくる私を誰かがそっと抱きしめ背中をぽん、ぽん、と優しく撫でるようにたたく。私は泣くのをやめれなかった。


「花子、そのままでいいから俺の話しを聞いてくれ」


聞き覚えのある、心地好い音程の声が私の耳に響き渡る


「俺は花子が好きだ」

「……っ」

「お前は、半田が好きか?」


その問いにコクリと頷く。すると彼は体を離し私と目を合わせる。相変わらず綺麗な顔で、微笑していた。そしてどこから出したのか消毒の染みたコットンで膝の怪我を拭き、大きめの絆創膏を貼ってくれた。


「よし。それじゃ、行ってこい!」


トンと私の背中を押す。バッと相手のほうを振り向くと彼はひどく優しい顔をしていた


「ほら、行けってば。俺に恥かかせるきか?」


ツン、また目頭が熱くなる。そして精一杯の笑顔で、


「かぜ、まる……風丸、ごめん…………じゃなくて、ありがとう!!」




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