01
「キミだぁれ?」
一人の小さな女の子が不思議そうにもう一人の小さな男の子に尋ねると男の子は驚いたような顔をする
「ぼく?」
男の子は年のため確認をとってみると案の定正解だったようで、女の子はコクリと頷いた
「ぼくのなまえは はんだしんいち!」
はんだしんいちと名乗った男の子はキミのなまえは?と質問をかえすと女の子は口を開く
「わたしのなまえは――――!」
「――ちゃん!」
「しんちゃん!」
「ぼく男だよ?」
「いいの!しんちゃん!」
二人の男の子と女の子は時間も忘れて沢山遊んだ沢山話した。二人にとってはすごく短い時間に感じただろう
「ぼくね、ひっこしてきたばっかりでさみしかったけど――ちゃんいるから楽しい!」
「わたしもしんちゃんとあそぶの楽しい!しんちゃんだーいすき!」
「じゃあ――ちゃんはぼくのお嫁さんだね!」
「およめさん…?」
「そう!大きくなったらけっこんするの!」
「しんちゃんとけっこん!するー!」
「やくそくだよ!」
ゆーびきーりげーんまん うーそついたーら はーりせんぼんのーます!ゆーびきった!
二人は次の日も、その次の日も、それまた次の日も、毎日毎日沢山遊んだ
pipipipi...
「んんん…朝か…」
はぁ、と息を1つ吐き体をおき上げる
多分あれは俺と…、誰だかわからないけど なんだか懐かしい感じのする夢を見た。
今日もがやがやと賑わう教室。朝練で疲れてる俺は輪に入ることも無く、机に伏せて完璧寝る体制。睡眠授業安定な予感。
「半田くん」
頭上から1つの声。まあこの時点で誰だかわかるんだけど。
「おはよう!」
「……はよ」
「お疲れかい?」
「今日も朝練出たからな」
苦笑いを浮かべれば桜宮さんは後ろに隠してたであろう物を前に差し出した。小首を傾げれは目の前の彼女はえへへとはにかむ
「お疲れであろうと思った半田くんに私からのプレゼントだよ!」
昨日のお礼も含めてね、と付け足す。手の物を見るとスポーツドリンクとおにぎり。それを俺にくれるというのだ。ありがたいこの上ない
「ありがとう桜宮さん!腹へってたから助かった!」
「どういたしまして!あとさ、その桜宮さんっていうのやめよ!私さん付けってあんまり得意くなくてさ」
「あ、ごめん。さん付け無しな」
「あとさ、今日も部活見に行くね!」
それじゃ!と席に戻ったと同時に予鈴がなる。
今日も桜宮は部活見に来るらしい。楽しみなのと同時に昨日のことを思い出し再びもやもやが現れる。もう気にしないことにした。
そして放課後。さて部活だ。なんだか少し憂鬱だけど大好きなサッカーの時くらいは集中したい。最初はなんとなくで始めたサッカーも大好きになり、日常の一部である。家でも暇があればボールに手をのばしてる。俺もサッカー馬鹿の一員だな、なんてふっと笑った。
「こんにちはー!」
少し遅れて来た桜宮は大きく挨拶をしてマネージャーに駆け寄った。今日は少し手伝いをするらしい。桜宮がマネジしてくれたらこの上ないくらいに嬉しいけど、どうなんだろう。など頭の隅で考えているうちに休憩。
「なぁ花子、マネージャーにならないか?」
円堂がそうもちかけた。ナイス円堂。でも桜宮は表情を驚かせるとすぐに苦笑いを浮かべた。
「いやぁ…してもいいかなぁ、っておもったんだけど家のこととかあるし…… でも、呼ばれたらいつでも来るから!なんか人手が足りない時とかは遠慮なく呼んでね!」
「そっか、それじゃあ仕方ないな!まあいつでも見に来いよ!」
バシバシと桜宮の背中を叩く。痛い痛い痛いなんていいながらも嬉しそうだ。
「半田顔怖いよ」
マックスに言われて気づいた。どうやら眉間にシワが寄ってたらしい。またもやもやしてる。はぁ、と溜息を吐くと隣のマックスはハハーンと少しウザイ顔をした。何だよと不機嫌に問うとニヤニヤしだす
「半田あの子の事気になってるでしょ」
「ばっ!べ、別にいいだろ…」
「まあ、頑張りなよ。半田を応援するよ」
「半田くん!」
「…桜宮?」
「うん、あのさ、帰り一人だったら一緒に帰らないかなー…なんて、だめかな?」
まさかのお誘い。俺の心臓はどくどく。遠くにマックスがニヤニヤとこちらを眺めている。明日こめかみグリグリの刑決定。平常心を保ちつつ おう、と返事すると安心の笑みを浮かべた。
「よかった!あとさ、注文おおくてごめんね、帰りにちょっと寄りたい所あるんだけどいいかな?」
「おう、大丈夫」
なんてくだない話をしたがらついた所は、遊具の少ない1つの公園だった。
「ここね、私が小さい頃によく遊んでたところなんだ!」
懐かしいなぁ、とつぶやくとベンチの上を少し掃い座った。
すると桜宮はぽつり、ぽつりと話だす。
「私小3くらいまでこっちに住んでたんだ。でね、その時によく1人でここに遊びに来てたの。ここは全然人もいなかったから。
でもね、ある日遊びにきたらね、昨日までは居なかった男の子がいたの。その子と仲良くなってよく遊んだなぁーって。あー懐かしい!」
隣に座る彼女はすごく穏やかだけどどこか寂しそうな表情だった。
「しんちゃん……」
「え?」
「あ、いやなんでもない!」
桜宮は小さくなにか呟いたよだったけどカラスの鳴き声でよく聞き取れなかった。するといきなり立ち上がり「さぁ帰ろう!」と言ったので送っていくことにした。
「なんかごめんね、私のわがままに付き合ってもらって勝手に語って更には送ってもらうなんて」
「いいんだよ、俺が好きでやってるんだし気にすんなって」
「あ、じゃあ私ここだから。また明日!」
彼女に手を振り家に入っていく様子を確認すると俺の顔の筋肉は一気に緩みだす。なんか会ったばかりなのに急接近しすぎじゃないかなんて思ったけど結果オーライなので気にしないことにした。
心のもやもやはいつのまに吹き飛んでいた。でも何か引っかかる。
気にしないふりをして家に帰ることにした。また1つ彼女を知れた気がして上機嫌。母さんに「あら何かいいことでもあったの?」なんて聞かれたけど母さんには秘密。俺も一応思春期だからさ。
今日はいい夢みれそうだ。
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何が書きたかったんだろう……
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