流転奇譚 | ナノ






強制的に匡の部署のインターン塾生に配属されることになったのだが、緋沙奈は匡がいつの間に室長になったのか気になっていた。
少なくとも一年前はまだ副長だった。

「いや?まだ室長じゃないけど?」

「・・・え?」

「正確には今日の午後に就任式があってね?その時になって俺は室長に就任する。」

「ちょっと待ってください!え、じゃあ、もしかしてまだ就任してないのにあんなことしたんですか!?」

「同じだろう?どうせ今日中に就任するんだ、どうしたって俺に君をスカウトする権限はあることには変わりないんだからね。」


あぁ、なんて人だ・・・!
この人は鬼なのかと緋沙奈は頭を抱え始めた。

あれほど拒否権はないと脅しておきながら実際には匡にはまだそれを実行するだけの権限がない。
だが言葉を、言質を手に取ってしまえば後戻りは出来ない。

だから今日だったのか、わざわざ返答の期限を短い3週間という今日にこじつけたのは匡が午後に部所属する署の室長として就任するから、それが理由だったのか。


「今日の午後より晴れて俺が所属する部署のトップというわけだ。来たな俺の時代が・・・!」


その当人である匡は自身の企みが成功して優越感に浸り始めている始末、
そしてその彼の傍らに影がひとつ姿を現した。


「あぁ・・・っ!素敵ですわ匡様!これより匡が先陣をきられるのでございますね!?目に浮かびますわ我が主様の勇士!この天狐の彩葉、一生匡様に着いて参りますわ!!」


授業においては凛々しい姿をみせていた匡の式神の彩葉だったが、今ではどうしたことか崩れ落ちうっとりした表情で匡を見上げる体制をとっている。

主への忠誠・・・を通り越してもはや心酔の状態だろう。


「・・・くく、この俺に不可能なことなんてないからね!」

「さすがにございます匡様!!」


大丈夫だろうかこの部署は・・・・・。
何だかいろいろ危ない気がすると緋沙奈は返答を間違えたかも知れないと肩を落とし、千鎖は同じ狐にしても彩葉の心酔具合を見て、洸劉の方がまだ忠誠的で彩葉ほどではないあたり可愛いものだと思い始めた。


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