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布越しでも股の中心部が湿潤しているのがわかる。邪魔な下着を横にずらして、しっとりした潤いに指を絡めた。
どこが一番敏感かなんて知っている。濡らした指先で突起を撫でたら、腰が仰け反った。だけど未だに舌を絡ませたままで大の男が上に乗っていれば、逃げられるわけがない。
触れるか触れないかの微妙な力加減で執拗に撫で回した。ビクビクと体を震わせている。唇の隙間から荒い息が漏れ出る。紛れる、くぐもった甘い声を聞き逃すわけがない。
「カ、カシ…っ、苦しいよ…!」
顔を背けて、ぷは、と息を吐くのを見て少し笑ってしまった。だけどまた、すぐに唇を合わせる。
酸素なんて足りなくなってしまえばいい。息を上げて、熱に浮かされて、何も考えられなくなればいい。そうして目の前のオレだけしか見れなくなってしまえばいいんだ。
細められる目の縁に涙が滲んでいる。それを見たら、ぞくりと背筋が震えた。空いた手で乳首を掠めたら、また喘いだ。
「どう? ちゃんと気持ちいい?」
ようやく唇を離して吐息のかかる距離でそう聞いたら、虚ろだった目で睨まれた。それなのに可愛いと思ってしまっている。もう自身のものはすっかり熱を持っていて、こうしている間にも入れてしまいたくて堪らない。
「そんなこと、聞かないでよ…」
「だってわからないじゃない。そうならそうって言ってくれないと」
ね? と確認しながら、小さいながらも勃起したそれを強めに擦った。今までより強い刺激に情けない声が響く。
体を起こして、下着を取り払う。そして濡れそぼるそこをちゃんと見た。すると足を閉じられそうになったので、触るのをやめる。
「ねえ、わかるでしょ?」
「…でも恥ずかしい」
「それだけ恥ずかしく喘いどいて今さらだ」
両膝を持ち上げて彼女の胸へと押し付ける。
「ほら、持って」
顔を真っ赤にさせながらもそれに従うのを見て、さらに興奮が掻き立てられる。…さて、と。
よく見えるようになったそこへ指を侵入させる。よく濡れているから一本なんてすんなり飲み込んだ。何度かピストンしてから指をもう一本増やす。
第二関節まで差し込んで、上側のざらつきを撫でた。優しくゆっくり撫で続けると、次第にきゅうきゅう締まってくる。
この辺かなあ…女の人のここってわかりづらいんだよね。七瀬の表情、喘ぎ方、膣の締りなんかで判断しつつそうすることはやめない。
「あっ、待って…、なんか、へん…っ」
ぶるる、と体を震わせるのを見、自分も早く腰を揺らしたくなる。そろそろだろう。
真っ赤に熟れたクリトリスに舌先を絡める。指の動きに合わせて声を漏らしていたのに、急にやってきた刺激に大きく鳴いていた。
ぎゅうぎゅう指を締め付けられて出し入れするのが困難になってきて、次のタイミングにはその瞬間がやってくる。
体が大きく揺れた。突起を吸い上げてから、指でグッと押しつぶす。見下ろす華奢な体は弓なりにしなっていた。それがベッドに沈む頃には肩を大きく上下させている。
濡れた口元を手の甲で拭って、自分の履いているズボンをずり下げる。七瀬が落ち着くのなんて待たない。待つ余裕もない。
何度目になるだろう。覆いかぶさるこちらを潤んだ瞳が真っ直ぐに捉える。触れるだけのキスをすると、彼女の表情はあの余裕のある笑みに戻っていた。
「ーーーいいの?」
それが何を指しているのか、すぐに察してしまう。このタイミングでそれを聞く七瀬は本当にズルい。ここでやめられると思うのか。
「…それは、わかったうえでこうしてる。そう聞きたいのはこっちも同じなんだけど」
「わたしはいいよ。望んでないことだもん」
「なら、なんでお前は結婚しちゃうのよ」
反り返るほど主張しているそれを入り口にあてがう。
ふと、いつも見惚れてしまう黒髪を撫でた。さらさらして癖のないそれは、指の間を簡単にすり抜けていってしまう。自分はいつも、ただ唇を噛みしめることしかできない。
「さあ…運命ってやつなのかな」
彼女は寂しそうに笑った。
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