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イリーナは体育館倉庫で殺せんせーの暗殺を試みたが、あえなく失敗に終わってしまった。
その後、イリーナは全く英語の授業をする様子もなくイライラとしており、おまけにE組を馬鹿にするような発言をしたため一時は学級崩壊をしかけたが、改心して教室に戻ってきた。

「悪かったわよ……いろいろと……」

気まずそうに小声で謝るイリーナを見て、クラスの皆は顔を見合わせる。
やがて、笑い声が湧き上がった。

「何びくびくしてんだよ。さっきまで殺すとか言ってたくせに」

「なんか普通に先生になっちゃったな」

「もうビッチねえさんなんて呼べないね」

皆に認められて、イリーナは嬉しそうに瞳を潤ませている。

「あんた達……わかってくれたのね」

「じゃ、ビッチ先生で」

それを聞いた瞬間、イリーナはピシっと固まった。

「そんなわけでよろしく、ビッチ先生!!」

結局ビッチと呼ばれることになってしまい、イリーナは怒っていたが、なんだかんだで無事にE組に馴染んだ様子だった。





イリーナの実践的な英語の授業はなかなか面白く、分かりやすいものだった。
ただ一つ難点があるとすれば、授業で間違えると公開ディープキスの刑が待っているということだ。

「じゃあ紗良、この英文を訳してみて」

(ど、どうしよう! ここ予習できてない……!)

イリーナの授業は特に予習をしっかりするようにしていた紗良だったが、予習してないところが当たってしまい、紗良は青ざめた。

「わ、分かりません……」

イリーナは不敵な笑みを浮かべると、人差し指をそっと唇にあてた。

「じゃ、お仕置きね。覚悟は良いかしら?」

「よ、よくないです……!!」

後ずさる紗良にじりじりと詰め寄っていくイリーナ。

「ほら、逃げないの。大人しく……って痛っ!! 何するのよカルマ!!」

紗良がカルマの方を見ると、カルマは対先生用の銃をイリーナに向けて撃っていた。

「ずるくない? ビッチ先生。教師の立場使ってそんなことするなんてさー。……俺だってまだ紗良とキスしてないのに」

最後の一言は小さく付け足すようにカルマは呟いた。

「カ、カルマくん!?」

「知らないわよそんなの。さっさと手を出さないアンタが悪いのよ」

「うわ、さすがビッチだねー」

「なんですって!?」

軽く口論を始めたカルマとイリーナ。

「あ、あの、ビッチ先生……!」

紗良が声をかけると、2人は言い合いをやめて紗良の方を振り返った。

「や、やっぱり、初めてのキスは、好きになった人としたいです……!!」

紗良の発言に、教室内がしーんと静まり返る。

「へー紗良、キス初めてなんだ?」

「え!! あ、えっと……その……」

紗良は自分の失言に気づいて、耳まで真っ赤にして俯いた。
穴があったら入りたいという言葉はこういう時に使うんだなと思った。

「あらまぁ、紗良ったら、ほんっとにウブなのね。まぁそれも一つの武器になるわ。仕方ないから今回は見逃してあげる」

「あ、ありがとうございます……」

紗良はうなだれるように自分の席に座った。
こうして紗良は無事に(?)公開ディープキスの刑を免れることができたのだった。





大人の時間 end
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