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「な、渚君、大丈夫……?」

イリーナが去ったあと、紗良は渚に駆け寄って声をかけた。

「うん……なんとか……」

カルマは地面にへたり込んでいる渚の腕を掴み、引き上げる。

「いやーそれにしても、面白いもん見れた」

そう言ってカルマは楽しそうに笑った。

「カルマ君、面白がらないでよ……」

はぁ、とため息をつきがっくりと項垂れる渚を見て、紗良は渚を気の毒に思った。
ふと、紗良がカエデの方を見ると、その目はメラメラと怒りに燃えていた。

「カ、カエデちゃん……?」

「あの人、ちょっと巨乳だからって調子に乗って許せない……!」

巨乳に対する嫉妬と怒りに燃えるカエデに、紗良は苦笑いを返した。





「気絶するほどのキスって、一体どんな感じなんだろう……?」

教室へと戻りながら、紗良はぽつりとそう呟いた。

「へー、紗良ってそーゆーの興味あるんだ?」

隣を歩いていたカルマは、少しからかうような口調でそう言った。

「い、いや……! 別に興味とかじゃなくて……!」

慌てて否定する紗良を見てカルマはいたずらっぽく笑うと、身を屈めて顔を近づけてくる。

「興味あるならいつでも言って? 俺がしてあげるから。キス」

「ななな、何言ってるの……!!」

動揺して顔を赤くする紗良を見てカルマは可笑しそうに笑う。

「もう、からかわないでよ……!」

「えー本気なんだけどなー」

「……っ!?」

「なーんてね」

そう言ってカルマはスタスタと教室の方へと歩いて行ってしまった。
そんなカルマの後ろ姿を眺めながら、紗良は考える。

カルマはイリーナのように気絶するほどの上手いキスが出来るのだろうか。
なんでも器用にこなすカルマの事だから、キスもかなり上手なのかもしれない。
紗良はカルマとのキスを想像しそうになり、ブンブンと首を横に振った。

(な、何考えちゃってるんだろう私……!)

そんな紗良の様子を見ていた渚とカエデが、紗良に声をかける。

「どうしたの、紗良ちゃん」

「顔赤いけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫……! なんでもないよ!!」

「そう……?」

2人に心配されつつ、紗良も教室へと戻っていった。
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