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とある休日のこと。

(誰かついてきてる……?)

買い物からの帰り道、紗良は後ろから人がついてきている気配を感じた。

(たまたま進む方向が同じだけかな?)

そう思ったが、いつまで経っても背後の気配は消えてくれない。
紗良が歩くペースを早めると後ろの人物も早足になり、紗良が歩くペースを緩めると後ろの人物もゆっくりと歩く。
どうやら一定の距離を保ってついてきているようだ。

(これってもしかして……ストーカー!?)

振り返って後ろを確認したいが、怖くてそれが出来ない。

(うぅ……どうしよう……)

助けを求めるべく、紗良は鞄の中から携帯を取り出しカルマに電話をかけた。
しかし、何度コールしても出ない。
心細さに泣きそうになる。

(カルマ君……忙しいのかな……)

紗良は諦めて一旦電話を切り、今度は学秀に電話をかける。
するとすぐに繋がった。

「もしもし、紗良?」

「良かったぁ、出てくれた……」

思わずホッと安堵のため息が漏れる。

「どうしたんだ?何かあったのか?」

「あのね、今……」

紗良は後ろからつけてきている人物に聞かれないように、小声で学秀に現状を説明した。

「そうか……とりあえず人通りの多い場所へ出た方がいい。僕もすぐに行くから、そうだな……駅前のカフェの前で落ち合おう」

「うん、分かった。ありがとう学秀君」

そうお礼を言って通話を切った。
するとすぐにまた着信音が鳴り響く。

(あ、カルマ君からだ)

「もしもし、カルマ君?」

「ごめん紗良、さっき出れなくて。ちょうどヤンキー釣りの最中でさあ」

「そ、そうだったんだ……」

「で、なんか用だった?」

「えっとね、実は今ストーカーみたいな人につきまとわれてて……」

「え、ストーカー?」

「うん、でももう大丈夫なの。学秀君が来てくれることになったから……」

「いや、大丈夫じゃないでしょ。俺も行くよ」

「カルマ君も来てくれるの?」

「当然じゃん。今どこ?」

「えっと、駅前のカフェの前で待ち合わせすることになってて、今向かってる所」

「分かった。すぐ行くよ」

「うん、待ってるね」

紗良は携帯を鞄に戻し、待ち合わせ場所のカフェへと向かう。
相変わらず背後の人物はずっと紗良の後をつけてきているようだったが、学秀とカルマの二人が来てくれることになったので不安な気持ちはだいぶ和らいだ。
むしろ2人に会えることを少し楽しみに思いながら、紗良は歩みを進めた。
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