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蝉の声が鳴り響く、夏真っ盛りの時期。
今日は水泳の授業で、E組は殺せんせーの作ってくれた裏山のプールへと来ていた。
「楽しいけどちょっと憂鬱。泳ぎは苦手だし、水着は体のラインがはっきり出るし……」
カエデの言葉に、紗良も同意を述べる。
「私も、泳ぐのは苦手だなぁ」
そんな会話を交わしながら、紗良とカエデは浮き輪に座ってぷかぷかと水に浮かんでいると、カメラを持った岡島がやってきた。
「大丈夫さ、茅野。その体もいつかどこかで需要があるさ」
「岡島君、二枚目面して盗撮カメラ用意すんのやめよっか……」
「一瀬は細身ながらもなかなか良いスタイルしてるな!」
「えっと、あ、ありがとう……?」
「紗良ちゃん、お礼言わなくていいから」
岡島は意気揚々としてカメラのシャッターをパシャパシャと切っている。
さすがに水着姿を撮影されるのは恥ずかしくて紗良が困惑していると、岡島のカメラが後ろからひょいっと取り上げられた。
「うわっ、なにす……カルマ!?」
「ねぇ、何勝手に紗良の写真撮ってんの? このカメラ水没させていい?」
急にカメラを取り上げられ焦っていた岡島だったが、たちまち得意げな表情に変わる。
「ふっ、残念だったな。そのカメラは防水だ!」
ドヤ顔で岡島はそう言い放った。
しかしカルマの一言で、岡島の余裕は一瞬で崩れた。
「じゃあ物理的にぶっ壊すしかないよね」
「ま、待ってくれっ! 分かった!! 撮った写真は消すから!!」
そうして、盗撮写真は無事に削除されることとなった。
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