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学秀が出て行ってしばらくして、紗良が目を覚ました。

「あ、目覚めた?」

「カルマ君……?」

「おはよう。ぼーっとしてんね。調子はどう?」

(あぁ、そっか。私、保健室で寝てたんだった……)

紗良はゆっくりと上半身を起こす。
少し寝たおかげか、もうすっかり体調は良くなっていた。

「もう、身体は平気みたい。そういえば、学秀君は……?」

寝る前までは居たはずだが、姿が見えなくてきょろきょろと周りを見回す。

「浅野クンならもう出て行ったよ。生徒会の仕事があるとかで」

「そっか……」

「浅野クンと、何話してたの?」

「えっと……」

(そういえば、カルマ君の事話してたんだっけ……)

思い出すと恥ずかしくなり紗良は赤くなる顔をぶんぶんと横に振った。

「べ、別に大した話はしてないよ! ちょっとした世間話を……」

「ふぅん……」

カルマは紗良の答えに少し不満そうな様子だったが、それ以上何も聞かれることはなく紗良ほっと胸をなで下ろした。

「そ、そういえば! 野球の試合、どうなったの?」

「あぁ、E組が勝ったよ」

「勝ったんだ! おめでとう!」

「野球部の悔しがる姿、なかなか見ものだったよ」

「あはは……でもすごいね、ほんとうに野球部に勝てちゃうなんて」

「まぁ、あれを野球って言っていいのか分かんないけどね」

「どういうこと?」

「帰りながら話すよ。紗良の荷物、持ってきてるから」

教室には戻らずに、もうこのまま帰っていいと殺せんせーから言われているらしい。

「歩ける? なんならおぶっていくけど」

「だ、大丈夫だよ!」

「けど、もしまた体調悪くなったりしたら、今度はすぐ言いなよ?」

「分かった。ありがとうカルマ君」

帰りながら、野球部エースのフルスイングを目の前で躱した話などを聞かされて、野球ってなんだっけと思う紗良だった。



球技大会の時間 end

2016.4.18
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