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紗良はカエデに本校舎の保健室まで送ってもらい、ベッドに横になった。

「じゃあ紗良ちゃん、ゆっくり休んでね」

「うん。カエデちゃん、どうもありがとう」

「紗良ちゃんの分も、応援してくるからね!」

そう言って、カエデは野球の応援に戻っていった。
カエデが保健室を出て行ったあと、入れ違いのようにある人物が保健室にやってきた。
その人物を見て、紗良は目を丸くする。

「あれ、学秀君? どうしてここに……?」

「君が保健室の方へ行くのを見かけてね。大丈夫か?」

学秀はベッド横の椅子に腰かけながら、心配そうに紗良の顔を覗き込んだ。

「ちょっと、暑さにやられちゃったみたいで……。先生が言うには、軽い熱中症だろうって」

「そうか……。気分はどうだ?」

「大丈夫だよ。横になったらずいぶん楽になったから」

そう言って、紗良が笑顔を見せると、学秀も安堵の表情を浮かべた。

「なら、良いんだが。君は少し無理をするところがあるからね」

「ほんとは、野球の応援したかったんだけど……試合、どうなってるかなぁ」

「どうもこうも、野球部相手では結果は見えているだろう」

「でも私は、E組が勝って信じてるよ」

紗良の発言に学秀は目を軽く見開く。

「うちの野球部は全国レベルだぞ?」

「うん。でもみんな野球部に勝つために練習頑張ってたし……。それに、カルマ君も勝つから心配いらないって言ってくれたから」

「……赤羽が?」

「カルマ君ね、なんか野球部の人の態度が気に入らなかったとかで、珍しくやる気になってるみたいなんだ。放課後の練習もサボらずにちゃんと参加してたし……」

こういう行事はサボりがちなカルマだが、今回は真面目に放課後の練習にも参加して皆と一緒に頑張っていた姿を思い出し、紗良は思わず笑みをこぼした。
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