2/6小春Happy BirthDay!2014



2.朝食会場の挙動不審な男


「あそこのテーブル、席空いてるわよん?」
「なんやいきなり」
「さっきからずーっとあそこ見てるし。隣、座ればええやん?」
「と、となり…」
「今度はどっちに用事なん?」
「は?」
「跡部きゅん?それとも侑士くん?」
「別に侑士に用事なんてあれへん。跡部も―」
「あー、ほなまた芥川くんやねぇ」
「っ!」
「…あらん、本当に芥川くんなん?」
「べ、別に、あ、あああ、あくた、がわ」
「何をそんなにどもることがあんねん」
「だ、だれも、…なんもない、何もない」
「……最近、なんかあったん?」


ある一角を凝視している挙動不審な四天宝寺生。
『怪しい人物』に加えて『挙動不審な男』か。どちらも共通点は、金髪の氷帝生?


―優雅なナイフさばきでフレンチトーストをカットしながら、フレッシュフルーツ、紅茶、ヨーグルトと順番に口に運ぶ帝王様。
―秋鮭のグリル、白米、味噌汁、青菜のおひたし、ひじきの煮物、豆と根菜の炊き合わせ、と和食プレートな忍足侑士。
―その二人と同じテーブルで、パンケーキをカットせずにそのままフォークをぶっさして、少しお行儀が悪いが端からかじりついている芥川慈郎。

この中で謙也が声をかけるとすれば従兄弟だろうが、いつもなら会えば『侑士、おはようさん』と声をかける彼が立ち止まり、従兄弟が座るテーブルの一角をじっと眺めている。その視線の先は、従兄弟というよりもその隣の金髪……?


「なぁ、朝ごはんまだやろ?」
「…ん?あぁ、今きたばかりやしな」
「侑士くんのとこ、1つ空いてるからそこお邪魔すれば?」
「な、なんでわざわざ侑士んトコ行かなアカンの」
「…よく一緒のテーブルで食事しとるやん」
「そ、それは、たまたま侑士んとこが空いてたり、侑士が隣きたりで―」
「今、侑士くんの隣、『たまたま』あいとるで」
「あ、あぁ、えっと…せ、せやなぁ〜」
「……おっかしいわねぇ。何やの?」
「あーあーっと、何でもあれへん、早よメシ食わな!あ、白石んとこあいてるから、そこ行く」
「あ、ちょっと」
「小春も、ユウジが呼んでる!ほら、あそこ、早よ行けや」
「…まぁ、ええけど」


踵を返し、そそくさとチームメートの白石と財前が座っているテーブル席へと向かいだした謙也の後姿を眺め、またも何だかなぁと思いつつ、ラブルスの片割れのテーブルへと向かう小春の朝だった。





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