丸井くんとは家族ぐるみのお付き合いなんです2
「ごはん、美味しかった〜」
「へへ。ジロくんのために腕によりをかけたから」
「まじまじ、カレーもジャッカルが言ってたとおり、ちょーうまかったよ」
「ありゃ天才的だったな、うん」
「パンも作れるなんて、お母さんもびっくりしてたしぃ」
「結構簡単に出来ンだぜ?」
「チキンも、ちょー美味しかった」
「ふっ…ケン○ッキーに勝ってしまったな」
「上の上いってたよ〜」
「当然」
カーネルさんのように11種類…とまではいかないが、複数のスパイスでつけこみ、カラっと揚げた丸井ブン太オリジナルチキン。
丸井家の人々にとっては、何故か先月の息子の誕生日以降たびたび食卓にあがり、何度も試食してきたため『またチキンか…』なんて父が呟くほどだったが。
芥川家の人々は一様に絶賛し、『ブン太くんのお嫁さんは幸せものね〜』なんて笑う芥川母に、丸井父はパッと芥川妹を見つめた。
(調理している二人の光景が微笑ましかったらしい)
対して、丸井母は、おいしそうにチキンをもしゃもしゃ食べている芥川家次男に視線を投げたものだから、見つめられた慈郎はきょとんとしてしまい…。
さて、母は何を思ったのだろうか…
「よいしょっと。お、入れる入れる」
「せまくない?」
「ほら、ジロくんサイズなら平気だろい」
「じゃ、おじゃましま〜す」
「チャックしめるぞー」
「う〜ん、寝返りうてるか微妙なところだね」
「キッチキチじゃないから、苦しくはないだろ」
「うん」
「苦しかったら言えよ?」
「は〜い」
兄所有の寝袋は、キングサイズで通常のシュラフよりは幅が広めだけど、高校生男子が2人入るにはやはりキツイ。
すんごくせまいシングルベッドのような…
ただ、伸縮性があるためなんとか一晩くらいは耐えられるというもので。
「本当は兄ちゃんが一人でテントだったのにな〜」
「さっきロッジの窓から手ふってたぞ」
「ったくも〜。寝袋いっこしかないのにさ」
「抱き合って寝るしかないよな〜」
「…ちょっと、何考えてんの」
「イヤらしいこと」
「何かしたら叩くからね」
「へーへー」
宿泊するロッジは2部屋で、それぞれ4ベッドルーム。
芥川家、丸井家とそれぞれ1室ずつ使うことにした。
が、しかし。
丸井家…父、母、長男、次男、三男
次男と三男で1ベッド使い、後はそれぞれ、という予定だったがお年頃なのか背伸びしたいのか思春期か。
次男と三男はそれぞれ自分ひとりでベッドを使いたいと言いだした。
芥川家…父、母、長男、次男、長女
長男が学生時代、よくアウトドアに出かけていたことから、早々に長男=ロッジ前でテントはって寝袋、と決まった。
(そのため、長男のアウトドアグッズを車に積んで準備万端でもあった。周りのロッジでも、手前でテントはってるお客も多く、ロッジ客とテント客で半々だ)
芥川家はともかく、丸井家は子供らの駄々にどうしたもんかと、ここはいっちょ父が一喝!
声をあげようとしたとき、芥川家長男が『じゃあブン太、慈郎のベッドにいれてもらえば?』の一言で収束した。
え、おかしいでしょ。
体の小さい丸井家のチビたちが1台ずつベッド使って、小柄とはいえ高校生男子が2名で1台のベッド?
だったら、自分と妹で1台のベッドでもいいんじゃないの?と試しに言ってみたけど、妹に全力で拒否された。
テント、寝袋で寝たことがない丸井家長男が興味を示したことにより、『じゃあブン太、おまえがテント行くか?』と芥川家長男がベッドで寝る!を主張。
(一人だけテント+寝袋よりも、やはりベッドで寝たかったらしい)
『え、オレ、兄ちゃんと寝るの?ヤだし〜』
『お前は小さいから大丈夫』
『小さくない!』
『じゃお前もテント行くか?』
『兄ちゃんの寝袋、一人用じゃん』
『一応大きめのサイズだから、二人で寝れないこともない』
『それならベッドを丸井くんと使うほうが、まだ広いC』
『俺もベッドで寝たい』
『兄ちゃんテント行って』
『お前ら若いんだから、一晩くらい平気だろ』
『せまい〜』
『友情を深めろ』
なにゆえ1台のベッドを丸井と使う → テントで1人用の寝袋を二人で使う、になってしまうのか。
兄に抗議すると、『兄ちゃんだってベッドがいいんだ!』と子供のようにすねる社会人…。
親たちは、『3人で話し合ってきめなさいね』と放置を決め込んだ。
結果、風呂あがったらジャンケンできめるぞ、となったのだが。
家族がロッジでシャワーを浴び、順番待ちをしていた高校生二人は、なにげない会話の中で芥川家次男の昼間のお散歩中に銭湯を見つけた話になった。
キャンプ場からも割りと近い、行ってみようか?となり、それぞれ親に告げて『気をつけていってきなさいよ?』と見送られ数分。
本当にすぐ近くにあった地元の銭湯で汗をながし、ロッジに戻ってきたら3人のうち誰かの寝床になるであろうテントがたっていた。
さらに、中を覗くと二人の着替え(ジャージ)が置かれていて…
銭湯に誘っても、長兄がこなかった理由はコレか。
ふと芥川家のロッジを見ると、窓からひらひら手をふる芥川兄の姿。
注意深く口元を読むと、『お・や・す・み』の一言。
そのまま窓をピシャリと閉められ、隣では芥川妹も笑顔で両手を振っていた。
「なー、ぎゅってしていい?」
「ほぇ?」
「狭いからジロくんぎゅっとして、スペースをだな」
「…いいけどさ」
「よしよし」
兄の寝袋は、決して寝心地がいいものではないけれど、すぐ隣で密着している互いの、布越しの熱が伝わってくる。
「なぁ、ちゅーしていい?」
「…あのね」
「ちゅーだけだから」
「……ヘンなことしないでよ?」
「おう」
ちゅっ
おやすみのちゅー、と軽いリップキス。
「ジロくんも17歳だな〜」
「すぐ追いついたね」
「2週間くらいしか違わねぇもんな」
「…ありがとう」
「ん?」
久しぶりに家族でお出かけもできて、丸井家の人々にも祝ってもらって。
豪華な食事に、皆での花火、トランプ大会。
大貧民で兄ちゃんの大富豪が続いて負け続きだった慈郎を一瞬でも救った、ブン太の革命。
その後、妹のまさかの革命返しで結局は大貧民になっちゃったけど…
でも、まるいくん。
まじまじ、かっこよかったよー!
「うっ…ジロくん」
「わっ」
満面の笑顔でお礼を言う彼に、可愛すぎんだろ、と金色の頭を両腕で抱えた。
「ちょっと」
「……」
「ヘンなことしないってー」
「まだしてねぇ」
「なんで、カタくなってんのさ…」
「…生理現象だ」
芥川の腰にあたってくるのは、ちょうど丸井の中心あたりで…
「今のどのタイミングで、そんな生理現象になるワケ?」
「わかんねぇ。ジロくんが可愛いからかな」
「なにそれ…」
「うぅぅぅ…まいったな」
おさまれ、おさまれ…と赤い髪をぶんぶん左右にふりまわしてみるが、そんなことをやっても変化ないのも本人わかっているワケで。
じゃ、ダメもとでお願いでもしてみようか?
「ジロくん」
「ダメだからね」
「そこをひとつ」
「ばっ…何考えてんだよ。ここ、どこだと思ってるの」
「大丈夫。家でこっそりヤることもあるじゃん?」
「家と全然違うでしょーが!部屋はカギかかるけどー」
「大丈夫。テント閉めてるし」
「すぐ開けれるし!てういか音!外だよ?ここ」
「ジロくんが声おさえてくれれば」
「無理だしぃ」
「タオルかんでさ〜」
「……リスクありすぎ。却下」
「ちぇ。やっぱダメか〜」
この中途半端にたっちゃった俺のちんこ、どうすりゃいいのよ?
なんて腰を押し付けたら、バシっと頭を叩かれた。
「なんか、さっきより大きくなってない?」
「そりゃ、恋人とこんなに密着しているわけですから」
「ばかっ、ダメって言ってるC」
「どうしよう、俺のちんこ。ぜんぜん萎えないんですけど」
「もお〜」
「ジロくん、なんとかして?」
「何とかって言われても」
「とりあえず寝袋から出る。どうにもなんねぇ」
「どうすんのさ」
「抜くしかねぇだろい」
素早く寝袋から出で、ぱぱっとジャージの下をおろす。
「…人の顔のまん前で出さないでよ」
「つい」
寝袋に入って仰向けに寝転がっている芥川の隣で膝立ちになっているため、彼のまさに正面に、頭をもたげた丸井のモノが…
「くっ…」
おいおい…
右手を上下にゆらし、カタくなってきた自身を扱く恋人の姿。
目のまえで繰り広げられるなんともいえない場面に、どうしたものかと呆れつつも、、、、
今日は、自分のために、自分の家族のためにもたくさんの料理をふるまってくれて、
キャンプにも誘ってくれて。
ありがとう、と先ほど告げたけれど。
(はぁ…しょーがないかぁ)
うん。
大好きだから。
「…っ、ジロくん?!」
「んっ…んん」
起き上がると、丸井の右手をどかせて、立派に持ち上がっている彼のモノに手を添え、ぱくっと加えて刺激をあたえる。
張り出した先端に軽く歯をあて擦りながら、舌先で先端をぐりぐりつつくと、さらに大きくなってきて。
「やべっ…も、イクかも」
「ん…ッ…」
「はぁ、ジロくっー」
「ーっ!」
苦く、青臭い味が口内に広がり眉を寄せる…が、出す場所がない。
ついでにぬぐうものもない。ジャージなんぞでぬぐったら後がこわい。
「ジロくん…?」
「んん」
どうしようか、この口の中のドロドロしたものを。
「あー…」
察したらしい丸井も、きょろきょろテント内を見渡すけれど、…困った、何もない。
ティッシュならともかく、タオルしかない…し、タオルに出すには危険すぎる。
(はぁ……。うがいしてこなきゃ)
ゴクッ
飲んで証拠隠滅するしかなかった。
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